なぜ松下幸之助は「小便、赤くなったことあるか?」と尋ねたのか

 

どうしても何かを伝えたいと思うと「松下幸之助さん」や「ドラッカー」の「ことば」に縋ってしまうのですが。

松下さんは

ぼくが奉公している時分に一人前になるためには、小便が赤くなるくらいにならないとあかんのや、そういうことを二、三べん経てこないことには、一人前の商売人になれんぞということを、親方から聞いた。どういうことかというと、商売で、心配で心配でたまらん、もう明日にでも“自殺しようか”という所まで追い込まれたら、小便が赤くなるという。そういうようなことをしてきて初めて一人前の商売人になる。だから尋ねるんやが、あなた、儲からん儲からん言うけど、小便赤くなったことあるか。

誰でもそうやけど、反省する人は、きっと成功するな。本当に正しく反省する。そうすると次に何をすべきか、何をしたらいかんかということがきちんとわかるからな。それで成長していくわけや、人間として。

倒産大病投獄の3T」は、人として深く内省する時間や機会をもたらすもので、そこで「正しく反省する」ことができたならば「次に何をすべきか、何をしたらいけないかということが分かる」となります。他に秀でて何かを成そうとするならば、他を凌駕する知恵や見識や情熱が身に備わっていることが大切な要件となります。

人にしろ組織にしろ、思い付きや人まねや教わった知識で成功し“頂”を極めかつそれを持続できたという例はないでしょう。人のしないこと」「できないこと」「思いつかないこと」「嫌がることに挑戦して、そこから光明を見つけた人や組織のみが、抜きんでた成果を実現できる可能性を持つので「困難」こそが「機会」となります。

ドラッカーですが、起業家の資質”についてこのように言っています。

確実性を必要とする人は、起業家に向かない。そのような人は政治家、軍の将校、外国航路の船長など、色々なものに向かない。それらのものすべてに意思決定が必要である。意思決定の本質は“不確実性”にある。

と言っており、不確実性へと跳躍する気概つまりリスクを負う気概を持っていることを起業家の“資質”としています。

関連するので「戦略計画」についてどう述べているのかを聞きます。「未来は、望むだけでは起こらない。それを起こすためには、いま意思決定をしなければならない。いまリスクを冒しておこさなければならない」とし、そのために策定するのが「戦略計画」であると言うのです。

「不確実性である未来を予測する」ことなど少しの例外を除いてできようはずはなく、そのため事業活動においては「経営者がリスクをかけて、今現在において意思決定して実行する」より法がない。ただし、実行しないというのも一つの意思決定で、すべてにおいて熟考のうえで責任を持って意思決定して実行することより他の術がありません。

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