独裁一直線の習近平、実は報復を恐れて引退できない説

 

もう一人、習近平と似ていると思うのは、袁世凱です。袁世凱は辛亥革命から中華民国の成立にかけて、四分五裂した中華の混乱を収めるためには、元首の強権しかないと考えていました。そのために帝政を復活させ、自ら帝位に就いたのです。

習近平も、これまでの集団指導体制では中国はまとまらないと考えて、自身への権力集中を進めている側面が強いと思っています。実際、冒頭の記事では、昨年10月の当大会後、習近平は共産党が結成された地の上海を訪れましたが、そこで密かに江沢民と会い、任期撤廃の意向を伝えたと報じています。

そのとき江沢民は絶対にダメだと反対したそうですが、それを押し切って、今回、国家主席の任期を撤廃したことになります。習近平の反腐敗運動や軍改革への不満が大きく、5年後に退任すれば、大きな反動で政治が混乱しかねないということが、習近平の任期撤廃の理由だとも報じています。

加えて、習近平は敵を作りすぎましたから、5年後に退任すると命すら狙われる可能性があるでしょう。今回、王岐山が国家副主席に就任する見通しですが、王岐山は反腐敗運動を主導してきましたから、引退するわけにはいかなかったのです。

党中央政治局常務委員の定年は68歳ですから、王岐山は年齢的に残れませんでした。そのかわりに副主席として、実権を握り続ける。副主席の任期も撤廃されたということで、習近平と王岐山は死ぬまで国家主席国家副主席を続けるのではないでしょうか。

途中で権力の座から下りることは、報復を受けることになります。反腐敗運動を押し進めてきた2人が、今度は腐敗容疑で逮捕される可能性があるわけです。それを避けるためにも2人で権力の座に居続けるしかない。

王岐山は、全公職者の汚職を取り締まる「国家監察委員会」を支える役割につく可能性が高いとされています。この「国家監察委員会」は昨年の党大会で習近平が新設する方針を打ち出したものですが、規律検査委員会が党内の腐敗を取り締まるのに対して、国家監察委員会はすべての公職者を対象にしているといいます。

習近平は、汚職摘発の対象者をさらに広げて、自らの意図どおりに動かそうとしています。中国で汚職に関わったことのない者はいないですから、ある意味では、全国民が対象者になるということでもあります。

全中国人民を監視対象者にして、いつでも逮捕、拘束できるようにする。そのような恐怖政治が展開されようとしているわけです。

しかし、それが成功するかどうかはわかりません。習近平はすでに9回も暗殺未遂に遭遇しているとされています。

習近平氏 9回目の暗殺未遂にショックを受け一時入院か

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