転勤できない。引っ越し費用急騰と「働き方改革」の意外な関係

 

引っ越し業界の人手不足には、運転手不足が深刻だった宅配大手のヤマト運輸と佐川急便が、昨年の秋、労働条件見直しに踏み切ったのが大きかったといいます。それによって、よりよい待遇を求める運転手たちが引っ越し業者から宅配業者に流出し、引っ越しのドライバーが不足気味になったのです。さらに、アルバイトも売り手市場で、きつい引っ越し作業が敬遠される傾向もあるようです。

それに加えて、働き方改革で長時間労に厳しい目が向けられ、繁忙期でも受注を抑制せざるを得ない状況があるのです。宅配業界が、労働環境の過酷さから深刻な運転手不足に陥り、運賃値上げをして労働条件改善に踏み切ったことが、玉突き的に、引っ越し業界に影響しているのです。とすると、引っ越し業界もこれに続き、運転手や作業員の労働条件見直さざるを得なくなり、それが、引っ越し料金の恒常的な値上げにつながるのでしょう。

労働者の働かせ過ぎ改革は当然のことで遅すぎたぐらいです。そのための値上げは仕方がありません。今後、時期による料金設定の違いが明確になり、繁忙期の引っ越しは、早いもの勝ちではなく、高額でもどうしてもその時期じゃないとダメいう人に特化し、時期をずらせば半額で引っ越せるというように需要の平準化を目指す方向にいくでしょう。

同時に、多大なコストがかかる転勤を見直し、必ずしも必要のない転勤をなくせば社員のワークライフバランスにも寄与します。共働きが当たり前の時代、夫婦一方の転勤は、ワンオペ育児という過酷な現状を生みますから。また、大きな荷物を引っ越しという形で移動させるより、一旦処分して、現地で新たに調達するような方法が、より進むかもしれません。人手不足働き方改革は、様々な業界にも消費者にも意識の変革を求めています

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