(2)テイラー・アンダーソンさん
また、震災関連で思い出すのは、テイラー・アンダーソン(Taylor Anderson)さん。
以前、ブログのほうでも紹介したが、彼女は、日本のことを心から愛し、あの震災時に命がけで子どもたちを守ってくれた人物だ。
米国バージニア州出身で、小学生の頃から日本に興味を持ち日本語を学び始めたテイラーさんは、2008年、大学卒業後に「JETプログラム」に参加。小中学生に英語を教える先生として日本へ・・・。
彼女の赴任先は、東北地方、宮城県内で第二の人口を擁する市、石巻市(いしのまきし)。
外国人が珍しい東北地方の内気な子ども達に、テイラーさんは常に優しく接し、英語を間違えても恐れることはないのよと示し続けた。
彼女の勤務先は、主に石巻市の小中学校だったが、仕事とは関係なく、隣接する幼稚園でもテイラーさんは教員や園児たちと深く触れ合っていた。
園児がダッシュで彼女のもとに駆け寄りジャンプすると、彼女はそのままギュッと抱きかかえ、すぐさま園児が彼女の頬にキスをするのが園内の微笑ましい日常風景だったそうだ。
子どもたちはみんなテイラーさんが大好きだった。英語教育を通じ、多くの人と交わり続けたテイラーさんは、いつの間にか石巻を愛してやまないアメリカ人の一人として、地元でもひときわ人望の厚い存在になっていた。
そして、2011年3月11日、東日本大震災発生。
地震発生当時、テイラーさんは、おびえる生徒たちを校庭まで避難させ「大丈夫だよ」と声をかけながら励まし続けた。
アメリカ、特にテイラーさんの出身地の米国東部のバージニア州では、ほとんど地震はない。
たぶん、日本の子どもたちより、テイラーさんの方がよっぽど地震に慣れてないだろうし、ずっと怖かったはずだが、テイラーさんは、保護者が迎えに来るまで子どもたちの傍を離れなかった。
彼女は、まさに命がけで、子どもたちを守ろうとしたのだ。
多くの子ども達が、実際に、「テイラーさんに助けられた」「もしテイラーさんがいなかったら自分は助からなかったかもしれない」と語っている。
しかし、自分が避難するよりも子ども達の安全を優先したテイラーさんは、無事に子ども達を保護者に引き渡してようやく自宅に帰る途中、津波に襲われ、帰らぬ人となってしまった。
彼女は、公式に確認されたあの震災のアメリカ人初の犠牲者。
まだ、24歳だった・・・。
ご参考:
●東日本大震災時、命がけで子ども達を救ったテイラー・アンダーソン(Taylor Anderson)さんのお話
どんなに言葉を尽くしても十分に表現できない気がするが、こうして日本のために力を尽くしてくれる方々が存在したということを3月11日が来る度に思い出す。
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