親の言うことをきく素直な子供は、社会に出ると「時代遅れ」になる

 

「親の言うことをきく子供」は社会や友人からも見放される

調査結果を詳細に整理すると、日本人はほぼ25歳で自分が正しいと思うことが決まり、おおよそ65歳まで変わらないということがわかります。中東のイラクで生まれて成長するとイスラム教になり、ポーランドで過ごすとカトリックになるというように、個人の意見は個人によって変わるように見えますが、個人よりその社会の環境で決まっていることも分かります。

ところで、1983年の調査で60歳の人は80%が「婚前交渉はダメ」、30歳の人は20%がダメと答え、全く正反対です。歳の差は30歳。ちょうど親子ぐらいの年齢差です。これが親子喧嘩の原理原則です。親と子供は生きている時代が違い、社会が違い、そこにおける常識も道徳も変化しています。だから、ダメが80%の親とOKが80%の子供が話し合ったら絶対に意見は合わないということがわかります。

それでは、親子で意見が対立することは仕方ないとして、対立したら喧嘩せずに親の言うことに子供が従ったとします。そうすれが親子喧嘩はなくなりますし、親としてみれば「素直に親の言うことを聞く良い子」ということになるでしょう。

ところがこれが子供にとっては悪い結果をもたらします。「素直な子は悪い結果になる」ということです。

30歳の子供が60歳の親の言うことに納得して婚前交渉はダメという考えになったとしましょう。そうなると親子の間は良いのですが、子供の世代の友人、同僚などは婚前交渉OKですから、子供の社会では一人「時代遅れの人」になってしまうのです。時代が変わっているのに時代遅れの考えを持った人は人間関係もうまくいきませんしビジネスでも社会の判断をつかむことができずに失敗するでしょう。(つづく)

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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