不気味に進む「米朝会談」、日本にとって最悪のシナリオは?

 

更に懸念されるのは、なし崩し的に統一が実現した場合に、「統一国家が核武装」するという可能性です。更には、それを中国が暗黙の承認を与えるという悪魔のシナリオ、ついでにトランプまでが「俺が以前から言っていたように認めてやる」などと言い出した場合です。そうなると、日本は「自分も核武装し、しかも当面の核による仮想敵は隣国」という事態に陥ります。

そうなれば、日韓は、印パと同じ「バカバカしいケンカをしている隣国同士」という地位に転落します。世界から原子力協定を切られたり、国内は分裂するし、政治は不安定になるし、それこそ明治150年の近代化の歴史の成果を全部食いつぶすような自滅に陥る可能性すらあります。

日本の方向性は多分1つなんだろうと思います。それは(4)を目指して、仮に南北首脳会談、そして米朝首脳会談が本当に実施されるのであれば、「成功を心から祈る姿勢でブレず、その動きに1秒たりとも遅れない」ようにするということです。そして、何よりもオバマ、トランプ、習近平、韓国などとの交渉のチャンネルを持つ、いや北朝鮮外交の経験もある安倍政権が、この「1秒たりとも遅れないという姿勢を保つことです。

私はそれ以外の選択は日本にはない、しかも選択を誤ると大変な事態を招来するというように考えます。安倍政権を存続させて、この問題に対処させるべきです。しかし1秒たりとも米韓朝中の動きに対して日本は遅れてはなりません。もっと言えば、仮に事態が前へ進む場合はそれを1秒たりとも遅れずに支持し支援すること、仮に事態が決裂の場合は、1秒たりとも遅れずに包囲網結束の要(かなめ)になることです。

日本の国内事情では、森友問題で安倍政権を葬る方向性が出てきているのかもしれませんが、それは全くの勘違いであると思います。

image by: Joseph Sohm / Shutterstock

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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