政治家ら関与の存在
【読売】は1面トップに2面関連記事。3面には解説記事「スキャナー」と社説、4面にも関連記事。8面に「調査報告」の要旨、9面識者3人による論点スペシャル、11面にも関連、38面と39面にも関連。見出しから。
1面
- 森友文書15ページ分削除
- 理財局指示 佐川答弁に合わせ
- 首相陳謝 麻生氏続投の考え
2面
- 検察捜査 長期化も
3面
- 森友 見えぬ収束
- 文書書き換え
- 誰がいつ指示…解明焦点
- 麻生氏進退 与野党攻防へ
- 行政への信頼を失墜させた(社説)
4面
- 消えた「特例」「特殊性」
- 野党からの追及逃れか
- 公文書保存「1年以上」に
- 「森友」で廃棄 財務省が見直し案
11面
- 財務省に動揺拡大
- 消費税上げ影響懸念
38面
- 名前出た議員ら困惑
- 財務省 高まる不信
- 検査院「2種類」把握
39面
- 隠蔽体質に憤り
- 「改ざんだ」野党追及
uttiiの眼
以前から、問題を財務省の責任だけに限局しようとする傾向はあったものの、昨日までの《読売》は、「もはや安倍政権を見限ったか」と思わせるほど、熱心に報じていたこの問題。いよいよ財務省が改ざんを認める段階になり、粗(あら)が目立つようになってきた。
1面記事にはぶら下がり会見で麻生氏が語った内容が書かれていて、「書き換えは、最終責任者が(当時の)理財局長の佐川氏ということになる」と話したことになっているが、実は麻生氏は「佐川」と呼び捨てにしたのであって、「佐川氏」などとは言っていない。15分間の記者会見中、質問に引きずられて一度だけ「佐川さん」と言ったことはあったが、あとは9回、「佐川」と呼び捨てにしている。確かに、発言を括弧で引用する際でも、省略をしたり、若干手を加えたりすることが全くないとは言わない。しかし、文書改ざんの責任者は佐川理財局長までで、その上、とりわけ、大臣である自分の所に責任はあがってこないという内容の会見で、現在は部下でもない人物を呼び捨てにしていることには意味があり、それを誤魔化すように「氏」を付けてしまうのは間違っている。麻生大臣は、「咎人(とがにん)は佐川だ」と言いたかったのだから。
3面記事「スキャナー」でも、《読売》は「佐川主犯説」(?)を強化しようと試みて、次のように書いている。
麻生氏自身への報告や相談は『ないです』と言下に否定し、9日に国税庁長官を辞任した佐川宣寿・前理財局長までしか書き換えの事実を把握していなかったことを暗に強調した。
と。
この文章の中では、「佐川宣寿・前理財局長までしか書き換えの事実を把握していなかったこと」が“名詞化”され、そのことによって、「佐川宣寿・前理財局長までしか書き換えの事実を把握していなかった」という不確かな評価を、まるで事実であるかのように読者に誤信させる効果が期待されている。大変悪質な誘導と言わなければならない。
それでも「スキャナー」は貴重な指摘もしていて、「書き換え」の理由として説明された「佐川答弁との整合性を取るため」ということに対する野党の反発を記している。政治家の働きかけに関する記述の削除は「政治家の関与はない」としてきた政府答弁との矛盾を意味するとの指摘は重要。