ロベルト・カビーザは「2つの脳」を使うことが認知能力に影響を及ぼすことを実験で明らかにしたのです。
まず、年長の成人を能力の高いグループと低いグループに分けました。対象者の認知能力は高低にかかわらず正常の範囲にあります。
そして、健康な若い成人のグループとともに比較的複雑な課題として、この場合はワードペアの一致を行なうように指示しました。
PETスキャンの結果、若い成人は予想通り脳の右側を使い、知能検査でもよい成績でした。
それに対して、脳の右側だけを使っていた年長の成人は認知能力の成績が低いほうにありました。
若者と同じ脳領域を使っていても、あまり効率よく使えていなかったのです。
しかし、同じ年長者でも前頭葉の両側を使っていた人は認知能力が優れていたのです。
教育レベルの高い人、学び続けること、体験を重ねて脳のつながりを強化している人の脳は素晴らしい状態を保てるのです。
たぶん、片方の脳を超えて課題を扱うことができると、単に成績がよくなるんでしょう。身体的なことにも見られますね。両手を使って椅子を動かすとか、何かを拾うのに膝を曲げるなどです。要するに、そのほうが何かをするのに都合がいいんでしょう。ケガを防ぐことができますし、全身のためにもいいんです。知恵というのが脳を違った方法で使うのを学ぶことだとすれば、まあ、たぶん、最終的に、それもうまい方法でしょう。(ロベルト・カビーザ)
2つの言語を操る年長者は脳の異なる領域で、2つの言語を柔軟に使いこなす能力を発達させています。
早いうちから脳の多くの領域を使うことを習慣化した人はその後も脳を活性化させます。
脳の左半球と右半球を上手に使いこなせるミドル世代以降は、できるだけ両方の脳を使い、脳のつながりを強化しましょう。