【書評】習近平が「台湾解放」「尖閣奪回」で民族の英雄になる日

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先日閉幕した中国全人代で、「終身国家主席」の座を手中に収めた習近平氏。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが取り上げているのは、そんな習氏の絶対化が中国で引き起こしていること、そしてこれからの対外関係等が記された一冊です。柴田さんが「日中戦争は必至」と判断したその内容とは?

shibata20180320-s習近平絶対化でいま中国で起きている大破局
劉文志・著 徳間書店

中国人ジャーナリスト劉文志の衝撃レポート(と銘打った)『習近平絶対化でいま中国で起きている大破局』を読んだ。著者は2000年代に中国国内の放送関係の仕事に従事し、中国各地を取材で回った。2017年10月に退社後、アメリカに移住した。日本文化、とくに陶芸への造詣が深いという。

この本は著者が目の当たりにしてきた中国国内の実情を紹介しつつこれからの中国、対外関係等を論考したものだ。見出しがうまく、そこだけ読んで要点が掴める。そして、問題点の指摘やまとめに箇条書きを多く用いているため、非常に分かりやすい。これらは編集者がしっかりサポートしているからだろう。

習近平の「100年の夢」は、中国共産党結党100周年にあたる2021年までに「小康社会ややゆとりを実感できる社会)」を建設することと、建国100周年には世界一流の「社会主義現代化強国」に築き上げることだ。あと数年で問題解消できる訳がない。二つ目の夢の実現は、共産党政権がその時点まで保つかどうかが前提だ。2020年以降の中国は、経済・政治・社会的にかなり脆いはずだ。

日中関係は絶対に好転しない。社会制度も違えば、国民性も異なる。両国民の価値観はあまりにもかけ離れている。「日中友好」の解釈権は常に中国側にある。友好も非友好も中国が都合のいいよう勝手に決められてきた。そのつどぐるぐる変わってきた。中国にとっての日本は相変わらず最大の敵国なのである。

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