文科省から不当な圧力。前川氏を許すことのできない黒幕は誰なのか

 

いったい、各省庁に何が起きているのか。財務省の文書改ざん、文科省の教育現場への介入。どちらも、官僚だけの判断で行ったとは到底思えない。政治の関与がとりざたされるのは当然であろう。

今月16日の野党合同ヒアリングで、文科省は「中日新聞の記事がきっかけとなり外部から照会があった」と認めている。その記事は単に、前川氏の講演会があったことを報じただけだ。誰から照会があったのかと聞かれ、文科省は「差し控える」と答えるのみだった。

だが、毎日新聞が「自民党文科部会に所属する衆院議員」と報じたことで、名古屋を地盤とする同部会の池田佳隆衆院議員の名が浮かびあがった。さらには部会長である赤池誠章参院議員も関わっていたことがわかった。

彼らは前川氏の講演会があった後の2月中旬から下旬にかけて複数回、文科省初等中等教育局に電話したようだ。

「在任中にいわゆる出会い系バーの店を利用し…こうした背景がある同氏について」と文科省が名古屋市教委にあてたメールの文面は、おそらく彼らの言い分をそのまま書いたものだろう。報道によると、文科省は事前に池田議員にメールの内容を見せていたらしい。

今月1日に市教委に授業の報告を求めるメールを送信する直前、池田氏に質問項目を見せ、2カ所についてコメントされたのを「参考にして修正した」という。…赤池氏によると、先月17日に池田氏から前川氏の授業の記事への意見を求められ、藤原官房長にショートメッセージで、授業に問題がないか確認した。
(3月20日毎日新聞)

情けないことに、メールの内容を池田氏に見せ、いわば“検閲を受けたうえで送信したのである。文科省の担当者にすれば、言われた通りにして面倒を回避した赤面もののメールであったにちがいない。

それにしても、正当な理由もなく政府が地方の教育委員会に今回のような問い合わせをすることが、教育基本法の禁じる教育への不当な支配にあたることぐらい、文科省の官僚なら百も承知のはずである。

あえて教育の自主性を奪うような動きをした背景には、第二次安倍政権発足以来、二人の議員も組み込まれている“安倍防衛部隊の威光が霞が関を席巻してしまっている実態がある。

森友、加計学園疑惑で盛んに使われた官僚の「忖度」も、人事権を握り我が物顔でふるまう官邸と、首相をとりまく夜郎自大な参謀たちに対する過度な恐怖心を抜きにしては語れまい

ちなみに赤池誠章氏は日本会議国会議員懇談会の事務局次長であり、池田氏は同会のメンバーだ。そして、事務局長は、“安倍防衛本部”の参謀総長のような風格を漂わせる自民党幹事長代行、萩生田光一氏である。

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