中国と米国がガチで貿易戦争したら、悲鳴を上げるのはどっちだ?

 

中国の「対米報復関税」により、本格的に勃発するとされる米中貿易戦争。両国間だけでなく日本にも影響必至と報じられていますが、台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、「制裁が長期化すれば、むしろ首が締まるのは中国」としています。一体なぜなのでしょうか。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年4月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】中国の対米報復関税は習近平の命取りになる

中国、対米報復を一斉実施、128品目対象、最高25%関税上乗せ、トランプ政権に対抗、“貿易戦争”の様相

アメリカのトランプ政権が3月末に海外からの輸入鉄鋼・アルミニウム製品に高い関税をかけたことに対して、中国は4月2日から報復措置として、アメリカ産品128品目に最大25%の上乗せ関税をかけました。

これに対して、日本のメディアは「貿易戦争が勃発すると騒いでいますが、本当にそうなるでしょうか。よく知られているように、中国はアメリカにとって最大の貿易赤字国です。2017年のアメリカのモノの貿易赤字7,962億ドルのうち、対中赤字は3,752億ドルで過去最大、約半分を占めています。ちなみに、これまでアメリカにとって2位の貿易赤字国だった日本は、メキシコに抜かれて3位になっています。

米貿易赤字9年ぶり高水準 17年、対中国が過去最大

中国のアメリカへの輸出は、同国のアメリカからの輸入の3倍もの規模になります。2016年の中国のアメリカへの輸出額は3,897億ドルでしたが、アメリカからの輸入は1,344億ドルしかありません。今回の中国側の報復関税では、そのアメリカからの輸入のうち、30億ドルが対象になっているだけです。したがって、もしも貿易戦争が起こった場合、圧倒的に不利になるのは中国側です。

しかも、アメリカが制裁対象にしているのは鉄鋼やアルミニウムなど、中国が最大の生産国となっている品目です。2017年の世界の鉄鋼生産量は16億9,122万トンでしたが、そのうちの約半分、8億3,173万トンを中国が生産しています。明らかに過剰生産であり不当廉売によって世界各国の鉄鋼業界が悲鳴を上げている状態であることは、言うまでもありません。

世界粗鋼生産、最高に 17年5.3%増

言うまでもなく、世界最大の鉄鋼消費国も中国で、2017年の鉄鋼需要は7億7,000万トンとダントツですが、6,000万トン、約7.5%も過剰生産していることがわかります。しかも、インフラ建設もピークに達し、その需要は年々低下すると予想されています。そのことは、中国の経済成長率が年々下落していることや、「一帯一路」によって、過剰生産された鉄鋼を他国へ振り向けようとしていることからも理解できるでしょう。

特集:日本産業の中期見通し(鉄鋼)

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