早めに年金を貰って死んだら、遺族厚生年金額も変わるのか?

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早めに年金をもらうことができる繰り上げ制度、このデメリットとして挙げられるのが「貰える年金が一生減額されたものになる」というものですが、早めに年金を貰った人が亡くなった場合、その遺族が貰うことのできる遺族厚生年金の額も減ってしまうのでしょうか? 無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』で、著者のhirokiさんが詳しく解説しています。

早めに年金貰って減額された!自分が亡くなった場合の遺族への遺族厚生年金額にも影響する?

年金の支給開始年齢が今後もじわじわと上がっていき、2030年以降は完全に65歳支給になります。男子は2025年に完了。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

とはいえ、年金の繰上げ制度があるから60歳に到達して、年金保険料納付済み期間+免除期間+カラ期間≧10年あれば自分の本来の年金支給開始年齢よりも個人の意思で老齢の年金を早めに貰う事は可能です。ただし、そのペナルティとして年金が一生減額されたものとなります。

※ 年金の繰上げの様々な重要パターンは今年1月の有料メルマガバックナンバーにまとめました。

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まあ繰上げをすると年金が減るという事に関しては今まで何度も書いてきた事ではありますが、もし老齢厚生年金を早めに貰って減額された金額となり、その後自分が死亡した時に遺族厚生年金に影響するのかどうか見てみましょう。

1.昭和32年6月16日生まれの男性(今は60歳)

何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)

この男性の生年月日からすると、老齢厚生年金は63歳からの支給となる。63歳(2020年6月)からの老齢厚生年金(報酬比例部分)は110万円とし、65歳(2022年6月)からは75万円の老齢基礎年金、老齢厚生年金(経過的加算)600円が支給されるものとする。しかし、平成30(2018)年7月に年金の繰上げをすることにした。

繰上げの期間を見る時は、「繰上げを請求した月から支給開始年齢到達月の前月」までの月で期間を出す。つまり、平成30(2018)年7月から老齢厚生年金の実際の支給開始年齢である63歳の前月の2020年5月までの23ヶ月早く貰い、老齢基礎年金と経過的加算は2018年7月から65歳前月の2022年5月までの47ヶ月早く年金を貰う。繰上げした分の支給は繰上げを請求した月の翌月分から。

繰上げすると、その本来貰うはずだった年金額を一生減額された状態で支給される。1ヶ月早く貰うごとに0.5%減額される。だから、老齢厚生年金(報酬比例部分)は110万円×(100-0.5×23ヶ月)%=110万円×88.5%=973,500円。

老齢基礎年金は75万円×(100-0.5×47ヶ月)%=75万円×76.5%=573,750。

老齢厚生年金(経過的加算)は600円×(100-0.5×47ヶ月)=600円×76.5%=459円。ただし、経過的加算の減額分(600円-459円=141円)は老齢厚生年金(報酬比例部分)から引いて、経過的加算600円そのものは全額支給。

たまーに「何で、報酬比例部分から経過的加算の減額分を引くのか」と聞かれる事がありますが、これは経過的加算の減額分は報酬比例部分から減額するけど、「当分の間、老齢厚生年金には経過的加算を加算した額とする」という決まりがあるのでそうなってる(厚生年金法附則13条の第4の4項)。僕自身は経過的加算(差額加算)は65歳前の年金額と65歳以降の年金額の誤差を埋めるだけの役割なので、わざわざ減額して支給してないというふうに言ってますけどね。

よって、2018年7月の翌月である8月分の年金総額は、{老齢厚生年金(報酬比例部分)973,500円-経過的加算の減額分141円=973,359円}+老齢厚生年金(経過的加算)600円+老齢基礎年金573,750円=1,547,709円月額128,975円)となる。

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