テンセントとアリババの「主導権を握るための競争」
このサイトでもよく取り上げている電子マネーサービス。メジャー電子マネーと言えば「WeChatPay」と「Alipay」ですが、このサービス元の親会社といえば「テンセント」と「アリババ」。この二強の主導権争いによるサービス競争による発展です。必ず店舗には二社のQRコードがあるのが最近の中国の特徴です。
直近で「やるー」と感じたのが、アリババが開始した高速道路サービス。日本では高速道路は現金やクレジット、ETCが主な決済と思いますが、中国ではもう一歩先の電子マネー決済が開始。現金の代わりにQRコード決済はまだ序の口で、高速道路のゲートに設置されたカメラが、自動車ナンバープレートを認識し、ナンバープレートの文字を読み取ります。運転手は事前に「Alipay」とナンバープレート情報を紐づけておき、カメラがナンバープレートを読み取ると「Alipay」で決済完了。決済が終了するとゲートが開いて通過できます。利用者はETC装置の設置が要らず便利な機能。遅れないよう同様のサービスを「WeChat Pay」でも開始しています。
「テンセント」と「アリババ」の主導権争いは顕著。特徴の一つとして提供されるサービスの便利さは当たり前ですが、電子マネーに直結するIT技術のサービス提供が数多く展開。どうやって電子マネーの流れを自社に呼び込み、市民の支持を得るか。そのための先行投資は積極的に行われ、「シェアバイク」や「テイクアウトサービス」、高速道路の決済機能など電子マネーを中心とするITサービスが中国全土に広がっているのです。
また「京东(jīng dōng)」と呼ばれる「テンセント系ECサイト」は、自社倉庫で管理している品を「Amazonプライム」のような、当日配達や翌日の午前中の配達などのサービスも開始(※ エリアは上海周辺など限定的な取り組みです)。
物流倉庫内部ではフォークリフトの運搬業務やラベル貼り付け作業などは機械を使った自動化が行われ、庫内の無人化による効率化とスピードアップが、日本のように活発に進んでいます。この辺の「先行投資して勝負に打って出る」という点は、中国企業の方がイケイケドンドンな感じがしてしまいます。やはり景気がいいのは日本より中国なんでしょうね。中国では一歩でも相手に差をつけようと、サービス合戦が繰り広げられているのが、今の中国の特徴で面白い点のように感じます。
ジンダオのここだけの話
日本は日本人の生真面目さや勤勉さで、仕事のクオリティをカバーしているのかも知れませんが、終身雇用ではなく、職場の人員の入れ替わりが激しい中国では、人頼りにするよりも、機械やシステムで環境を整備して、ルールを守る仕組み作りをした方が、平均的なサービスを提供できる部分があります。
人頼りはいいのですが、結局は人口が減り、高齢化が進めば、移民に頼る、機械に頼る、元のサービスを諦めるなど、他の選択肢を選ぶ必要もでてきます。
あと10年後の日本と中国って更にどのくらい差が生まれるんだろうと思ってしまいます。
image by: Shutterstock.com