コインランドリー業界成長の2つの理由
では、誰が今、コインランドリーを使っているのか。
「主婦層です。1億総活躍で今は家庭の主婦も、パートタイムばかりでなく9時から5時までフルタイムで働きに出るようになっています。家に洗濯機があっても、夜になかなか洗濯はできません。家に帰ったら、ご飯を作ったり、子供をお風呂に入れたり、子供の学校の宿題を見てやったりと、イベントが目白押し。では、土日に溜まった洗濯物を一挙に洗おうと思っても、家庭の小さな洗濯機では何回にも分けて洗わなければならなくて時間が掛かるし、干せる場所もないからです」(三原社長)。
コインランドリーは学生、独身男性のためのものから、洗濯する時間がない働く主婦へとターゲット層を変えて成長軌道に乗っている。1週間分を一挙に洗って乾かせるように、家庭にはない20kg~30kgの容量を持った大型の洗濯機、乾燥機を揃えているのだ。店の造りも明るく居心地良くなっている。だから、マンマチャオの店舗には「大型コインランドリー」と大きな看板が掲げられている。
マンマチャオのコインランドリーを使うと、洗濯は19分、乾燥は30分あれば十分。つまり、1時間足らずで1週間分の洗濯が済ませられて、家事が大幅に軽減される。
コインランドリー業界では、コインランドリーをルーティーンで使っている家庭は日本の全世帯数の4%程度とされている。女性の社会進出がさらに進んで、世帯の1割がコインランドリーを常時使うようになっただけでも、2.5倍の市場拡大になる計算が成り立つ。現在の深刻な人手不足を考えれば夢物語ではなく、近い将来、十分に実現性があるだろう。
興味深いデータとして、コインランドリーの躍進に対して、クリーニング店の市場が衰退している事実がある。厚生労働省の調べによれば、クリーニング所施設数は1998年に16万4,225と最大になった後は減り続けており、2017年には9万9,709となっている。ピーク時の6割である。これは形状記憶繊維を使ったワイシャツが普及して、クリーニング店で糊の利いたワイシャツを仕上げてもらう必要がなくなったことが影響している。つまり、家庭の洗濯機、コインランドリーで十分で、ワイシャツに限らず形状記憶繊維を使ったアパレル製品が増えている。
コインランドリーがこれだけ成長しているもう1つの理由は、形状記憶繊維というアパレル製品の技術革新によって、クリーニングの需要がコインランドリーに移っているためだ。