本来、国際機関は日本の消費税などに関心はありません。
なのに、なぜOECDが日本に勧告をしたのかというと、日本の財務省がOECDに働きかけて、日本に勧告を出させたのです。つまり、財務省は、日本国内の不満を抑えるために、「国際機関から勧告があった」という形をとろうとしたのです。
そもそも、消費税というのは、欠陥だらけの税金なのです。
消費税の最大の欠陥は、逆進性です。消費税というのは、消費をしたときにかかる税金です。ということは、収入のうち、消費に回す割合が高い人ほど、負担率は高いということになります。低所得者は、収入のほとんどを消費に回さなければならないので、低所得者がもっとも負担率が高くなるのです。
たとえば、年収200万円の人がいるとします。この人は、年収のほとんどは消費に回るので、消費税の負担割合は年収のほぼ8%になります。
一方、年収1億円の人がいるとします。この人は、年収のうち2千万円を消費し、後は投資や貯蓄に回したとします。となれば、この人の消費税の負担割合は、年収の1.6%に過ぎません。つまり、年収が低い人ほど、年収に対する負担割合が大きいのが消費税なのです。
これを所得税に置き換えれば、この欠陥が見えてきます。
もし、年収1億の人に1.6%の所得税をかけ、年収200万円の人に8%の所得税をかけたならば、国民はこぞって猛反対するはずです。こんな不公平な税金はない、と。そして、こういう税金は絶対に通らないはずです。
しかし、これと事実上、同様のことをしているのが、今の消費税なのです。間接税のトリックに誤魔化されているので、あまり文句はないだけであって、実際に負担割合を直視すれば、これほど不公平な税金はないのです。
消費税が導入される前、日本には物品税という税金がありました。これは贅沢品にかかる税金で、現在の消費税の20%程度の税収があったのです。
そして、この物品税は国民生活に根付いており、重税感もそれほどなかったのです。贅沢なものを買わなければかかってこない税金だったからです。
物品税はごく一部の物品にしかかかっていなかったので、この範囲を広げることで消費税程度の税収は得られたのです。
しかし、この物品税は、消費税導入とともに廃止させられました。物品税の廃止には、国税職員さえ疑問をもちました。物品税は、税の徴収システムが完全に出来上がっており、これを廃止して消費税を創設することは、税の徴収の観点から見ても効率が悪かったからです。
にもかかわらず、「なぜ物品税を廃止し、消費税をつくったのでしょうか?」
物品税の対象となる業界から、「物品税を廃止しろ」という猛烈な圧力がかかったからです。
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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年4月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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