なぜマザーテレサは訪問先の米ホテルで暖房を止めさせたのか?

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教育の現場で頻発する「いじめ」を見つめ続けてきた無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』。今回の記事は、「あきらめる子、絶望する子」を守ることについて、教師の立場から考えたこと。「真に理解する、実感を伴ってわかる」「過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望をもつ」ことがいかに大切かを、豊富な事例を交えながら解説しています。

君たちはどう生きるべきか。私は何を教えるのか

子どもたちを身近でみているとあきらめたり、絶望したりしてしまう子に出会うことがあります。今回は「あきらめる子、絶望する子」を守るということを教師の立場で考えてみたいと思います。

そのためには、「人が人を理解すること」がとても重要だと考えています。もう一点、希望を持つ、言い換えれば「未来を創る」という視点が必要だと言えます。この二点は「教育の根本」と言っても良いのではないかと思います。

いま、アンデルセンの童話『マッチ売りの少女』のお話をお金持ちの少女が暖炉の前で読んでいます。心優しい少女は、物語を読んで涙を流しています。しかし、彼女がどこまで理解しているかということを考えてみますと、冷たいようですが、「わかっている」とは言えないのではないでしょうか。この段階の理解は「understand」、つまり想像の世界の出来事と言えます。それが、ヨーロッパから遠く離れたアジアの国で貧困の中にあり、毎日の食事もまともに摂ることができないような少女が読んで流す涙とは違うでしょう。日本語では「理解する」と言ってしまえば簡単ですが、単に理解するということと、「真に理解する、実感を伴ってわかる」との間には大きな違いがあるのです。

インドの貧困に寄り添い、ノーベル平和賞を受賞した、マザーテレサは、アメリカ訪問の際、ホテルの宿泊に際して、シスターたちに命じて、あたたかい暖房を止めさせ、ベッドではなく床で寝るようにしたといいます。マザーたちが支援する人たちを「真に理解したい」という気持ちから出ている行動なのでしょう。

人が人を説得するには、「相手を真に理解する」ことが必要です。「人を理解した」は、「人を愛した」と同じなのです。子どもたちを真に愛するならば、その可能性を愛することが前提なのです。「教育」を考えるとき、この「子供たちを愛する」という気持ちが根底にあって、その上で「育てる」ということを考えるべきだと思うのです。

では、「未来を創る」という点についても考えてみたいと思います。今の日本の中学生たちは、22世紀の扉を開ける鍵を持っていると言っても過言ではないと思います。

アインシュタインは「未来創造」ということを考えるにはピッタリの偉人ではないでしょうか。アインシュタインの言葉に「過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望をもつ。大切なことは、何も疑問を持たない状態に陥らないことである。」というものがあります。

未来に対しての希望に焦点を合わせてみましょう。「いかなる希望を胸に抱くか」ということは、「その人がいかなる人物であるか」ということを表しています。

「何を希望するか。どのような事柄の実現を心から願うか」ということは、その人の人生を方向付けるものです。「その人の希望を見れば、その人の運命が見える」ということなのです。ですから、「その希望は、正しいものであるか」という視点や、「他人を害せず、多くの人々を幸福にし、豊かさを増大させていく方向に向かっていくものかどうか」という視点から点検されなければなりません。

未来に向かってイノベーションし、付加価値を創造し、未来産業を興し、富を増やし、地球の増加する人口問題や環境問題を解決し、争いのない、平和で繁栄した未来を築いていく。そのためには、何が必要でしょうか。新しい時代を拓くには、新しい人材が必要です。志と勇気に満ち、創造性にあふれ、国際舞台でも教養人として尊敬を受ける人材を世に送り出していかねばなりません。有為な人材の輩出により、国の富を増やし、発展繁栄の未来を創ることです。そのために、私は教師として、人格の向上に努め、常に「何を教えるべきか」を考え続けていきたいと思います。

前名古屋市教育委員会 指導主事
前子ども応援委員 スクールソーシャルワーカー
堀田利恵

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