武田教授が指摘、自分と意見が違う人を友人にしない日本人の悪癖

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以前掲載した記事「実は「自分の考え=母親の教え」。武田教授が語る、その根拠」で、日本人の先入観や思考回路についてわかりやすく解説した、メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者で中部大学教授の武田先生。今回は、私たち日本人が同じ育ちで同じ考えの人とばかり群れる悪い傾向について、「一生を通じて見ると大きな損害だ」と厳しい口調で指摘しています。

同じ情報、同じ経験をしていても、人によって意見が大幅に違うのはなぜか

現代はバッシングの時代ともいえる。これまで社会に対して発信する手段のなかった人たちが、ネットができたことによって世界中に自分の考えを知らせることができるようになったのだから、それは大変なことだ。事実、全く無名の人でも、もし面白い動画を出せば、時に何100万人という視聴者を獲得できるのだから、別の世界に入ったようなものだ。

でも、良いことには必ず悪いことがいくらかは付きまとう。「誰でも自由に発信できる」という権利を得たのだから、それに伴う苦痛とか義務を考えておかなければならない。ネット社会が発達すると社会全体が狭くなり、かなり前に自分が発信したことがブーメラン化して、自分に突き刺さってくる可能性が高くなるからだ。そしてネットは場所を変えても追ってくるので逃げにくい。

今シリーズでは、人間の大脳と本能の関係思考回路と先入観の関係意見を決める順序を整理し、自分の発信が将来の禍根にならないようにする方法を探ってきた。今回は自分の考えを決めるためにどうしても必要なこと、「知識と議論」について考えてみたいと思う。

人間は人によって考えが違うものだ。当然のようにも思えるが、じっくり考えると奇妙だ。もし、NHKが正しく、かつ日本国民が知らなければならない情報を放送してくれたとすれば、日本人全員が同じ知識を持つのだから、ほとんど同じ意見になるはずである。「事実」が同じで、「整理」も同じなら、そこから推論される「結果」もほぼ似てくるだろう。それにNHKはすでに70年以上も続いているので、先入観という意味でもかなりの部分を占めるはずなのである。

でも、これほど意見の違う人が多いのはなぜだろうか? それは、個人個人が「いい加減に意見を作る」からに他ならない。人間は即断即決しがちであり、かつ知らず知らずに自分の都合の良いことを正しいと思いがちである。だから、同じ情報、同じ経験をしていても意見が大幅に違うものである。

ということは、将来に禍根を残すことを発信しないようにするためには、「即断即決してすぐ発信するのではなくいったん立ち止まる」こと、「自分だけが考えると自分勝手になるので、人に考えを聞くこと」が必要であることがわかる。

つまり、「発信しようとしていることに関する知識をもう一度、ネットや本で得ること」と、「友人などと話をして人の考えに接すること(できるだけ自分と違う考えの人が良い)」が必須であることがわかる。

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