100円が16340円に。なぜ年金保険料は60年でここまで上がったのか

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昭和34年に制定された国民年金制度ですが、開始当初の保険料は35歳以下が月々100円でした。それが現在は1万6,340円、なぜここまで値上がったのでしょうか? 今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では、著者のhirokiさんがその理由を詳しく解説しています。

昔の国民年金保険料は月々100円の低額だったが今は16,340円に上がる中で何が起こったのか

新年度になりましたが、国民年金保険料の金額が変わりましたよね。平成29年度は16,490円でしたが、今年度は16,340円150円下がっています。この金額は毎年変動します。前年の物価と賃金変動に影響するからです。

国民年金保険料は平成10年度から平成16年度までは13,300円と変動しない事がありました。これは平成9年に金融危機が起きて、大手金融機関の倒産から始まり(山一證券の廃業とかは知ってる人もいると思います)、いろいろな企業の倒産が相次いだので国民の負担をかけないために国民年金保険料を凍結させたんです。

平成16年改正により、凍結されていた保険料を平成17年4月に13,300円から280円アップして13,580円に上がり、その280円を毎年度上げていき、平成29年度までに16,900円に固定されることになりました。ただ、16,900円に固定するといっても、この価額に前年の物価と賃金の変動率を掛けるので毎年変動します。

単に16,900円という金額に固定したのではなく、この固定した金額に物価と賃金変動率を加味した保険料改定率というのを掛けます。つまり、16,900円×保険料改定率というのが本当の計算式。この16,900円の額は法定額という。

まあ今年度だけで言うと、16,900円×(前年度改定率0.976×前年度物価変動率0.999×前年度実質賃金変動率0.992)=16,900円×0.967=16,342円≒16,340円(10円未満四捨五入)となったわけです。

厚生労働省(平成29年度年金額改定ルールの物価変動率とかの値が出てるところを用いてます)

なお、平成31年度からは16,900円ではなく17,000円に上がる。ちなみに平成31年度の国民年金保険料額も既に決まっていて、月々16,410円。

17,000円×(前年度改定率0.967×平成30年度物価変動率1.005×平成30年度実質賃金変動率0.993)=17,000円×0.965=16,405円≒16,410円

厚生労働省(平成30年度年金額改定ルール)

この法定額の100円アップは国民年金保険料にも産前産後の保険料免除制度を導入するため。出産予定月の前月から、出産予定月の翌々月までの期間の保険料を免除するが、支払ったものとして将来の国民年金(老齢基礎年金額)に反映させるための財源。

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