売上高4割増、好調「串カツ田中」が抱える全席禁煙化で失速の試練

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2008年の1号店誕生以来、破竹の勢いで店舗数・売上げともに伸ばし続けてきた「串カツ田中」。大阪ローカルだった串カツをフィーチャーしたスタイルが大ウケし独自のポジションを築いた同社ですが、その勢いを削ぎかねない「重大な問題が経営の前方に横たわっている」とするのは、店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さん。佐藤さんは自身の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』で、同社が先日発表した「全席禁煙」という大英断が成長に急ブレーキをかける可能性を危惧しています。

売上高4割増の「串カツ田中」が抱える失速懸念とは?

今、最も勢いのある居酒屋といえば串カツ専門店串カツ田中」でしょう。現在の店舗数は約190店。今年度の1年間だけでも55店を出店する計画をたてており、近年急速に店舗網を拡大しています。

足元の業績は好調です。4月13日発表の2017年12月~18年2月期の決算は、売上高が前年同期比37.9%増の14億9,600万円、最終的な儲けを示す純利益は40.9%増の7,000万円でした。11店が純増したほか、既存店売上高が期中のすべての月でプラスだったことが寄与しました。

串カツ田中は競争のない未開拓市場のブルー・オーシャンを歩んできたことが功を奏しています。串に刺した肉や野菜に衣を付けて油で揚げるというシンプルな料理の串カツは昔から大阪の下町で愛されてきた食べ物ではあったものの、それ以外の地域ではあまり馴染みがないなか、同社は串カツ未開の地だった東京にあえてそのまま持ち込んで勝負することにしました。同業種の競合が少なかったことが幸いし、すぐに繁盛するようになったといいます。

総合居酒屋が廃れ、焼き鳥居酒屋「鳥貴族」や海鮮居酒屋「磯丸水産」といった低価格を売りとする専門居酒屋のニーズが高まっていることも追い風となりました。串カツ田中は大半の串カツが1本100~120円と低価格です。また、「串カツに特化した居酒屋」というニッチ市場にポジションを確立したことにより専門性を発揮することに成功しています。時代のニーズに合致したといえるでしょう。

さらに、串カツ居酒屋市場の中でも独自のポジションを確立することに成功しています。扱っている衣と油ソースは既製品ではなく同社オリジナルのため、串カツ田中でなければ楽しめない味があり、それが差別化につながっているのです。

串カツ田中の1号店が誕生したのは08年12月。10年も経たずに190店もの店舗網を構築しています。店舗数の増加に合わせて業績はうなぎのぼりです。17年11月期の決算は、売上高が前年同期比39.2%増の55億2,900万円、純利益は26.5%増の3億2,700万円となっています。

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