3.アメリカンプロレスの悪徳マネージャー
世界最大のプロレス団体WWEのユニバーサルチャンピオン、ブロック・レズナー選手は総合格闘技でも活躍した、無敵の超強豪選手です。風貌もいかめしく、昔のプロレスだったら完全に悪役レスラーのいで立ちです。しかししかし昔の悪役レスラーのように「お前をぶっ殺す」的なこけおどしの発言はせず、基本無言です。ではどうするか?
常にそばにはポール・ヘイマンという悪徳マネージャーがいます。レズナーを誉め称え、対戦選手をボロクソにけなすそのスピーチは、会場のヒート(反発)も呼ぶ一方、あまりの見事なシャベリに登場時の挨拶「マイ・ネーム・イズ・ポール・ヘイマン」は合唱が起きるほど人気? もあります。
世界でもっとも稼ぐ俳優となったドゥェイン・ジョンソンは、かつてザ・ロックとしてWWEのトップレスラーだったように、プロ芸能人を優に飛び越えるほど話術が巧みです。アピールができなければアメリカンプロレスでスターになることはできません。しかしすべてのレスラーがそこまでシャベリができるとは限らないため、ポール・ヘイマンのようなトーク代弁者がいるのです。矢田弁護士は、正に今回この代弁者(Adovocate=代弁者、弁護士の意味もある)として、見事に会見をコントロールし、なおかつ佐川氏のような反発が起きるのを最小限に抑えることができたのではないでしょうか。
4.矢田弁護士の存在
山口氏は終始うつむき気味で、涙を流し嗚咽ももらしながらゆっくり話しましたが、これは聞き取りにくいだけでなく、意地悪に取れば泣いて逃げを打っているようにもとれかねない、あまり良い印象はありませんでした。むしろ大人の責任として、堂々と伝わりやすく答えるべきだったと思います。
一方、決して大物弁護士であることや超大手芸能事務所の威光をカサに着たような傲慢な態度を見せず、安心できる老医師のように山口氏の背後にたたずむ風情は、ビジュアルやパフォーマンスの点でも素晴らしいものだと思いました。
ダメだといっても繰り返し執拗に質問を投げてくるマスコミに、イラ立ちを見せたりせず冷静に、その都度「すみませんが、それは…」とただちにカットインして山口氏にしゃべらせないなど、タイミングを見極めて介入しました。この冷静さは大きく印象に影響したといえるでしょう。