4. 日本への影響
1年後、原油価格が100ドルになると、日本は、またもや、経常赤字になる。このため、円安と原油価格上昇で、物価の上昇が起きて、2%以上のインフレ率になる。給与は上がらないし、年金生活者は一層苦しくなる。消費は減少するが、物価は上昇することになる。典型的なスタグフレーションになる。
前回の原油価格高騰時は、日本の人口はまだ上昇していて、労働者が潤沢にいて税収も維持していたことで、現在の状況とは大きく違うことに注意が必要である。
このインフレ時、日銀は金融緩和を止めて利上げを行うと、より一層景気が下振れすることになる。今までの長期の量的金融緩和の弊害が大きく出ることになる。そろそろ、単純な量的金融緩和を止めて、ETFの買いだけではなく売りも行い、当分の間の上昇局面の株価を2万円から2.1万円程度に維持して石油高騰時の準備をし始めないと、日本は苦難に遭うことになる。国債も売り買いを行い、1%程度の金利にした方が良い。
この1年の間に、政府は移民政策を積極的に行うことで労働人口を増やして税収を確保しないと、原油高騰時、インフレで日銀の金融緩和ができない条件下で、多額の赤字国債を出すと長期金利が上昇し、かつ原油高で高インフレになってしまうことになる。
日本の苦難が始まることになる。
日本企業は、この1年で海外企業の買収を行い、世界企業化して、原油高騰時の苦難を切り抜ける必要がある。日本企業の良さは、企業内での世代間引継ぎができているので、細密な職人芸が維持できていることである。この伝統を引き継げている限り、日本企業は、世界で生き残れる。
そして、日本企業が世界的に活躍できている限り、日本は苦難を乗り越えることができる。
さあ、どうなりますか?
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