「月給減らした同額を賞与で支給」という会社は許されるのか?

 

会社が負けました

裁判所は「変更は認められない」として、給料が下がった分の差額を支払うようにと会社に命じたのです。

なぜか。

その具体的な理由は下記の通りです。

  • 給料は、雇用契約の本質的要素であるから、(社員に)不利ではないからといって、会社が自由に変更できるわけではない
  • 基準額通りにボーナスが支給された場合、確かに以前の給料よりも年間の収入は増えるが、ボーナスは査定で額が決まるためその額が保障されるものではない

いかがでしょうか。

実は「月給を減らして、賞与を支給したい」と言うご相談は私も結構多くいただきます。その理由は様々ですが例えば

  • 賞与があったほうが採用に有利になる
  • 月間成績だけでは評価できない半年や年間の成績を評価して賞与に反映させたい

などです。この場合に単純に賞与をプラスするだけのお金に余裕があれば問題ありませんが、そうでない場合はどこからかその原資をもってこなければなりません。それが「月給を減らす」につながるわけです。

ではこのような変更は全く認められないのか、というとそのようなことは決してありません。その変更の理由が合理的で社員の同意個別に一人ずつ必要ですがあれば、変更は充分に可能です(上記の裁判例では「社員の同意」がとれていませんでした)。

人事評価の視点でもお話すると、半年や年間の実績を賞与で評価するというのは非常に有効な手段と言えるでしょう。月ごとの評価だけだとどうしても短期的な視点での評価に偏りがちだからです。

みなさんの会社はいかがでしょうか。

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【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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