お客様をアンバサダーに
まず、マツダの社員とお客様が直接触れ合うことのできるイベントを開催します。例えば、富士スピードウェイなどを使ってのお客様体験会です。参加した親子に、車整備の体験やモノづくりの体験をさせます。ロードスターへの試乗もできるに違いありません。お客様を徐々にマツダやロードスターの世界に引き込みます。
各地でそうしたイベントを重ねながら、少しづつ「ロードスター」のファンが生まれていきました。そのファンは、やがて「アンバサダー」という、よりコアなファンとして認定されていくことになります。ファンとしてのランクが上がったようなものです。
すると、「アンバサダー」になったお客様は、周りの人たちにマツダやロードスターの宣伝をし始めます。そして、やがてファン同士の「コミュニティー」が生まれました。そうなったら、しめたものです。
次には、もっと凄いことが起こります。ロードスターのファンの人たちが、自発的にイベントを開催するようになったのです。例えば「ロードスターミーティング」というイベントは、年間16回も行われていると言います。マツダ自身も、そうしたファンを放っておくわけではありません。新型車のお披露目イベントに特別に参加できるといったこともしています。
こうした活動を通じて、マツダとファンの「絆」がどんどん深まっていったと、梅下氏は語ってくれました。素晴らしい戦略だと思います。ここから分かるように、マツダが回復したのは、製品戦略だけではありません。顧客戦略を大切にしたところに、価値があるのです。
実は、この戦略は、あなたのお店にも大いに参考になります。例えば、ここから、良い商品をお店に並べるだけではいけない、ということが分かります。また、お客様をファンにするには、お客様の「コミュニティー」を作ることが大切です。そして、マツダの「アンバサダー」のように、お客様に特別な資格をあげることも良いでしょう。より多くのコアファンを増やすことが業績の向上につながります。今こそ、こうした弱者の戦略を駆使しましょう。
■今日のツボ■
- マツダは近年V字回復を見せている。
- その一つの要因は、顧客をファンにする仕掛けにある。
- 「コミュニティー」と「絆」が、キーワードである。
image by: Wikimedia Commons(steve lyon)