この数ヶ月、トランプ政権は台湾への武器供与を決定したり、アメリカと台湾の高官の相互交流を可能にする「台湾旅行法」を成立させるなど、中国に対する圧力を強めてきました。その背景には、トランプ大統領が「中国がアメリカの雇用を奪っている」と問題視する、中国の巨額な対米貿易黒字の問題があります。
また中国が知的財産を不法に盗むことについても、アメリカは警戒しています。トランプ大統領は今年の3月21日、中国がアメリカの知的財産権を侵害していると断定して、少なくとも500億ドル相当の中国製品に制裁関税を命じる大統領令に署名しました。
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また、CIAの次期長官に任命されたジーナ・ハスペルCIA長官代行は5月9日、上院情報特別委員会の公聴会で、「中国がアメリカの知的財産を不法に狙っている」と発言しました。
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中国企業が他国の企業買収によって、相手企業の技術を一気に獲得するという手法を用いてきたことは有名です。しかも、中国企業は中国政府の息がかかっています。中国に在籍する企業は、外資も含めて、中国共産党の組織を企業内に設置することが義務づけられています。そのため、いくら私企業であっても、技術情報などは中国共産党に握られてしまうのです。
加えて、中国へ進出する外国企業のうち、自動車や船舶、送電網建設など、一部の製造業では中国側との合弁企業が義務づけられています。その際、中国側のパートナー企業から、合弁企業をつくらないと運営できないという弱みに付け込んで、技術開示を強いられることが多いそうです。
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また、財務省によると、日本での模倣品の税関差し止め件数(2017年)全3万627件のうち9割以上の2万8,250件が中国の製品であり、中国の業者などによる模倣品の製造や販売の手口は巧妙化しているといいます。
アメリカは中国を14年連続で知財保護の「優先監視国」に指定しています。そのアメリカ、トランプ政権が、中国企業に寛容な姿勢を見せるはずもなく、貿易摩擦と知財問題については、徹底的に中国を叩くはずです。それはアメリカの安全保障と雇用の問題だからです。
朝鮮半島問題も、習近平国家主席に任せたところでまったく前進しませんでしたが、トランプ大統領が強硬姿勢を示して動きました。実行力を見せつけることで、中国に対しても本気度を示しているわけです。