マタハラを乗り越えた女性が乗せられる「マミートラック」の非道

 

所長 「そう。1つ目の関所は、妊娠を報告するとき

大塚 「『妊娠解雇』ですね。被害相談件数では、この時点でマタハラされてしまうケースが圧倒的に多いです」

所長 「2つ目の関所は、産休・育休を取得するとき

E子 「『育休切り』ですね」

所長 「3つ目の関所は、産休・育休を取得し復帰するとき

E子 「短時間勤務制度を使いたいと申請しても利用させてもらえなかったり、降格キャリアリセットされたりするケースがありますね。この段階での相談が2番目に多いです」

大塚 「この3つの関所を無事に乗り越えたとしても、その後にはマタハラの親戚とも言われている『マミートラック』が待ち構えていることもありますよ」

新米 「マミートラックって何ですか?」

E子 「マミートラックっていうのは、仕事と子育ての両立はできるものの昇進・昇格とは縁遠いキャリアコースのことをいうの。ワーキングマザーは、短時間勤務制度を利用して働くようなキャリアを選ばざるをえなくなることが多いでしょ。そうすると、不本意ながら出世コースから外された『マミートラック』に乗せられてしまうってわけ」

新米 「そういう乗り物に乗せられるってたとえですね」

大塚 「マミートラックが原因で仕事にやりがいを持てなくなったという女性も多いようですね」

深田GL 「うーん、『解雇される』等の明白なマタハラが企業側で解決されてもまた別の問題もあるってことだなぁ」

E子 「このマミートラックは根深い問題ですね。これは子育ての負担を母親が担うという男女の役割分担の意識が大きく変わらない限り解決できないでしょうね。難し~い…!」


マタニティー ハラスメントとM字カーブ厚生労働省HP

厚生労働省がマタハラと定めるものには、大きく2つのものがあります。従業員が妊娠・出産したこと育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しない(契約社員の場合)といった行為、その他の不利益な取扱いをすること。また、職場におけて行われる上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児や介護のための制度を利用した等に関して、上司・同僚が「男女労働者」の就業環境を害する言動を行うこと。

女性の年齢階級別の労働力率(15歳以上の人口に占める働く人の割合)をグラフで表すと、学校卒業後20歳代でピークに達し、その後、30歳代の出産・育児期に落ち込み、子育てが一段落した40歳代で再上昇する。これをグラフに表すと、アルファベットの「M」に似た曲線を描く傾向が見られる。「M字カーブ」とはこのグラフの形態を指し、女性の就業状況の特徴を表している。このM字カーブと呼ばれる現象は、日本のほか、韓国においてもよりM字の底が深い特徴的な現象を示しているが、欧米諸国では見られない。しかし、近年では働く意欲のある女性が増え、子育て支援策が充実してきたこと、人手不足下の景気回復で、企業が女性の採用を増やしている面もあり、「M字カーブ現象」が浅くなって来ている

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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