柳瀬元秘書官が加計学園関係者との面会を認めざるを得なかった訳

 

問題になっている14年4月2日の面会風景も、想像していたよりはるかに派手なしつらえだったことがわかった。記憶にないとか官邸への入館者記録が見当たらないとかいうレベルではない

同日午後3時、加計学園と愛媛県、今治市の一行が柳瀬氏との面会のため官邸の一室に通された時、内閣府に出向している文科省、農水省など関連省庁の官僚たちも待ち受けていた。

午前中に面会した特区担当の藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)は「要請の内容は総理官邸から聞いている」「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と陳情一行に話しており、官邸がすべてお膳立てを整えたとみるのが自然だ。

柳瀬氏は参考人としての質疑で、メインテーブルに座っていたのは加計学園関係者で、今から思えばその後ろに控えていた人たちが愛媛県、今治市の職員だったのかもしれないという趣旨の発言をした。

愛媛県の中村時広知事はそれに強く反発した。

「県職員はメインテーブルに座っていた。子どものお使いに行っているのではない。県の状況をしっかり説明し、柳瀬氏と名刺の交換をした」

愛媛県側がウソをつく必要はない。加計学園のコネで同県や今治市の担当者が官邸に招き入れられたのは確かだろうが、国家戦略特区の話をしに来ているのに、その提案者となるべき自治体の担当者を無視できるはずはないのだ。

いずれにせよ、かなり賑々しい会合が官邸で開かれたのは間違いない。首相の黒子に徹する秘書官のイメージからして、少人数でひそひそ話でもしたのかと思ったら、大違いだった。

なぜ、そういう形の会合にしたのだろうか。5月14日の参院予算委員会で、共産党の田村智子議員がその点に関連して、次のような質問を安倍首相に投げかけた。

「柳瀬氏は総理秘書官として官邸で加計学園と面会し、獣医学部についての要望も聞いた。その場に関係省庁から出向している職員も同席させていたことを認めた。加計学園の要請を内閣府に伝えたことを否定しなかった。客観的にみて、官邸が加計学園のことで動いていることを示したことになるとは思わないか」

各省庁から内閣府に出向している職員は、出向元の省庁に随時、情報を送り、省益を守ろうとする。

事実、この15年4月2日の昼過ぎ、内閣府に出向していた文科省職員から文科省行政改革推進室の担当者に「愛媛県と今治市の職員、加計学園幹部らが午前11時半から1時間、藤原地方創生推進室次長に面会し15時から柳瀬総理秘書官とも面会する」という内容のメールが送られている。農水省にこの種のメールが送られたかどうかは、同省のガードが固いせいか、確認できない。 

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