大学教授すら算定方式を出せぬ、格安スマホへの接続料は廃止せよ

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NTTドコモなど大手キャリアに「接続料」を支払って、通信サービス料金の安い「格安SIM」を提供しているMVNO各社。これまで、この「接続料」を巡ってさまざまな議論がなされてきましたが、「接続料というもの自体をやめた方がいい」と語るのはケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。石川さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、「接続料の存在を根本から見直す」ことが必要な理由について記しています。

公正取引委員会が、値下げ競争の起きない「接続料」にメス――もはや「接続料」は役目を終えたのではないか

5月15日、公正取引委員会にて「第2回携帯電話に関する意見交換会」が開催された。テーマは「MVNOへの接続料」だった。

接続料に関してはこれまでも総務省で大学教授の先生方が頭を突き合わせて喧々諤々の議論がされてきたが、結局のところ「誰もが納得する算定方式というのが出せていない状況だ。

意見公開会では「3社の接続料がなぜ競争して値下げの方向にいかないのか」といった問題点が焦点となっていた。冷房の効かない蒸し暑い会議室での3時間の議論を傍聴していたが、そこでふと「そもそも、MVNOに対しての接続料はもはや意味のないものではないか」という根本的な疑問をいだいてしまった。

今回の意見交換会ではIIJ、ケイ・オプティコム、日本通信の3社がプレゼンを行ったのだが、接続料を使ってサービスを提供しているのは日本通信のみで、IIJ、ケイ・オプティコムは卸によるサービス提供であることが明らかになった。

日本通信は「接続させろ」とNTTドコモと戦ってきた経緯もあることから、接続料にこだわっているのだが、他社に関しては、条件がゆるい卸での契約となっている模様だ。しかも、現状、接続と卸の料金に違いはないのだという。

おそらくNTTドコモとしては、卸の料金設定はあるものの、日本通信からのツッコミを恐れて、あえて接続と同じ料金設定にしているのではないか。

接続料の算定方式としては、原価コストに適正な利潤を載せるとされている。ただ、このコストの算出方法や適正な利潤というのを弾き出すのが難しく、誰もが納得する数字になっていないのが現状だ。さらに接続料を算定するのにも、数年単位でかかるため、MVNOからは「経費が確定できず経営が安定しない」と不満の声が上がっている。

それであれば、もう、大学教授が寄ってたかって考えても、まともな算定方式を出すことができない接続料なんてやめてしまえばいいのではないか。そもそも、「適正な利潤を載せるからいつまで経っても接続料は高止まりしているのだ。

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