ビットコインに否定的なビル・ゲイツ、根底には「もっと馬鹿理論」

 

ビットコインに否定的な意見を持つビル・ゲイツのある発言が話題になっているようです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、著者でアメリカ在住の世界的エンジニア・中島聡さんがゲイツ氏の件の発言を取り上げ、氏がビットコインを批判する際に使った「もっと馬鹿理論」を紹介。さらに先日発生した仮想通貨モナコインのハッキング事件についても解説しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2018年5月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

Greater Fool Theory

ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットがビットコインに否定的なことは以前から知られていますが、ビル・ゲイツが「ビットコインを空売り出来るものならしたい(参照:Bill Gates: I would short bitcoin if I could)と発言したことが大きな話題になっています。

この記事のタイトルの“short”は動詞で、株などが値下がりすることを期待して、オプション取引などを活用して、利ざやを稼ごうというものです。つまり、ビル・ゲイツは「ビットコインの価格は今後下がると予測しているのです。

これを受けて、ビットコインで大儲けをしたタイラー・ウィンクルボス(Facebookを題材にした映画「ソーシャル・ネットワーク」に出てきたオリンピック選手の双子の一人)が、「本当にそう思うなら、やるべき」(参照:Tyler Winklevoss tells Bill Gates how to short bitcoin)とチャレンジしたりと、とても面白いことになっています。

ちなみに、ビル・ゲイツがビットコインを批判する際に使ったGreater Fool Theory”という言葉があまりにも素晴らしいので、紹介したいのですが、残念ながらあまり良い日本語訳はありません。

これはバブルが生じる時の典型的な考え方を示しており、何かの値段が理由もなく高騰している際に、「今のうちに買っておけば、値上がりした際に(さんざん値上がりしてから買う)馬鹿な奴に売りつけて儲けることが出来る」という人間の馬鹿げた行動を表したものです。

つまり、“Greater Fool”とは「自分よりももっと馬鹿な人」という意味で、無理やり日本語訳すれば「もっと馬鹿理論」になります。ITMediaの記事では「大馬鹿理論」と訳されていますが、これでは意味が通じません(参照:ビル・ゲイツ氏、ビットコイン投資は“大馬鹿理論”によるもの)。

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