行列ができる伝説のビール注ぎ師が、効率よりも重視していること

aoyama20180523
 

1日2時間営業、しかも1人2杯までしか飲めないにもかかわらず行列が絶えないビールスタンドがあるのをご存知でしょうか。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者でMBAホルダーの青山烈士さんが今回取り上げるのは、広島の繁華街にある「ビールスタンド重富」。営業時間の倍以上、準備に手間をかける店主のこだわりと戦略・戦術とは?

顧客からは見えない部分

行列のできるビールスタンドを分析します。

ビールスタンド重富

戦略ショートストーリー

美味しいビールを飲みたい方をターゲットに「生ビールにかける飽くなき情熱」に支えられた「美味しいビールが飲める」等の強みで差別化しています。

サーバーや注ぎ方を変えることで、他では味わえない様々な味わいのビールを提供することで、顧客から支持を得ています。

■分析のポイント

顧客からは見えない部分

「ビールスタンド重富」において、特筆すべきは、営業時間「2時間」に対して、開店前の準備と閉店後の設備メンテナンスにかける時間の合計が4時間から5時間」もかかっているということです。

オーナーである重富寛(しげとみゆたか)さんによると、ビールの美味しさの8割は、準備段階で決まるそうです。しかも、5割はグラス洗いで残りの3割がサーバーやホースの洗浄樽の管理ガス圧の管理とのことです。これらをきちんと行うためには、4時間から5時間かかるということです。

営業時間の倍以上の時間をかけるわけですからね。徹底ぶりに頭が下がります。営業時間よりも準備の時間の方が長いお店はそうないでしょう。

一般的には、収益を確保するためにできる限り準備の時間を短縮(効率化)して営業時間を少しでも長くしようとする企業が多いです。「ビールスタンド重富」にとっては、効率化よりもビールを美味しく提供することの方が優先順位が高いということでしょう。

このように、ビールを美味しく提供するために妥協しない姿勢からは学ぶことが多いです。

当たり前ですが、準備段階は顧客からは見えないです。しかし、顧客からは見えない部分が勝負を決する大きな要因になるということを示している事例だと思います。

ビールを美味しく提供するためにここまで手間をかけてくれているのですから、顧客としても応援したい気持ちになるのではないでしょうか。

オーナーである重富寛(しげとみ ゆたか)さんはビールの注ぎ手を育成することにも力を入れているようですので、今後も注目していきたいです。

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