24日、米朝首脳会談の中止を北朝鮮に書簡で伝えたトランプ大統領。習近平国家主席との二度の会談後、突如態度を変えた金正恩委員長の「強烈な怒りとあからさまな敵対心」をその理由として上げていますが、このまま対話の道は閉ざされてしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では、著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、事ここに至った理由と北朝鮮に残された3つの選択肢を記しています。
トランプ、米朝首脳会談中止を決断
皆さんご存知と思いますが、トランプは5月24日、「米朝会談中止」を決断しました。BBC5月25日付に、トランプが金正恩にあてた書簡の全文が掲載されています。
シンガポールで6月12日に開催予定だった首脳会談は、双方が長く求めてきたもので、そのための最近の交渉や話し合いにあなたがかけてきた時間と忍耐と努力を、非常にありがたく思います。
会談は北朝鮮が求めたものだと知らされていましたが、それは私たちにはまったく大事なことではありません。
私は会談であなたとお会いするのをとても楽しみにしていました。
残念ながら、あなたの最新発言が示した強烈な怒りとあからさまな敵対心を踏まえると、長く計画を重ねてきたこの会談を、現時点で実施するのは、不適切だと感じます。
そのため、この書簡をもってシンガポール首脳会談は、双方の利益のために、ただしそれは世界の不利益ですが、実現しないとご理解ください。
あなたは自分の核能力の話をしますが、我々のはあまりに巨大で強力なので、決して使わずに済むよう私は神に祈ります。
あなたとの間に素晴らしい対話が築かれつつあると感じていましたし、究極的に大事なのはその対話だけです。
いつの日か、ぜひともお会いしたいと願っています。
それまでの間、もうすでに家族と共にいる捕虜の解放に感謝します。
あれは素晴らしい対応で、とてもありがたく思っています。
なにより大事なこの首脳会談について、もし考えが変わるようでしたら、ぜひ遠慮なく私に電話するなり手紙を書くなりしてください。
世界と、そして特に北朝鮮は、永続的な平和と素晴らしい繁栄、そして富を得る、素晴らしい機会を失いました。
この失われた機会は歴史において本当に悲しい瞬間です。