【書評】なぜ日本のメディアはここまで酷い嘘をつき続けるのか?

 

著者は新聞を読まない。テレビも見ない。正しい情報を求めるのであればメディアには頼るなという。ネットには何の加工もされていない一次情報が必ずある。それを読んで正しい前提となる定義を構築する。著者の情報収集も基本はネットである。ただし、ドメインは日本の政府機関による情報を公開した「go.jp」か、大学・研究機関による情報掲載の「ac.jp」に限定している。

企業のHPなどに使われる「co.jp」の情報は、99%が正しい前提には使いにくいjunkだ。海外のサイトも同様である。民間のサイトで公開されているデータは使わない。著者が分析に用いる情報は、誰でも簡単に閲覧できるものだけだ。ニュースは読まない方がいいが、ネットにアップされるヘッドラインだけは見る。情報取得ではなく、半分は趣味でやっている間違い探しのようなものだ。

著者はシンギュラリティという予言は信じていない。「プログラムをしている人を、そのプログラムの成果であるAIは超えられない可能性が高い。AIが暴走したら、と心配する人は多いが、電源を落とすのがいちばん簡単な暴走停止手段である」。わはは、そんなこと書く人に初めてあったよ。

べきだ論」がはびこる世の中で、そんなものに惑わされず、当たり前のことを書くから、安倍首相の提灯持ちと揶揄する輩もいる。それは違う。著者は自らの意見を予め、かなり前から公表しており、それを政治家が取り入れただけだ。

一部の論者が「集団的自衛権の行使を容認すれば、日本が戦争できる国になる」という主張を繰り返し、行使しないことが日本の平和につながるという虚誕妄説を流布してきた。著者は以前、安倍首相に「アメリカと同盟関係を結んでいた方が戦争の確率が高くなるとしたらどうしますか」と聞いたことがある。

そのときは同盟を結んでいる意味がなくなる」というのが首相の返事だった。集団的自衛権の意味が分かっていれば、そう答えるのが筋である。アメリカに追従して同盟関係を結んでいるとか、戦争に巻き込まれるとか、変な感情論を発する輩がいるが、同盟関係を結ぶ基本的な考え方は「敵に回すといちばん怖い相手と組む」ということだ。それが日本の安全の確率を高めるのだ。

また、同盟を破棄して自分たちで守ろうという主張もある。いま同盟のコストは約6.7兆円だが、それと同じだけの防衛力を自前で整えるには24~25.5兆円が必要だ。どこに財源を求める? 集団的自衛権の行使容認は少ないコストで平和維持する最善策なのだ。同盟関係は戦争協力だという変な議論もあるが、同盟の圧力で戦争確率を減少できる。日米同盟はその抑止力が発揮されている。

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