ですから、現実的には、アメリカのアムトラックで行っているような、ランダム、つまり全員ではなく「抜き取り検査」を行うというのが考えられます。例えばですが、乗車前の場合ですと、乗り継ぎの関係でギリギリになる人、自由席の席取りを急ぐ人などがいて混乱しますから、乗車後に座席でチェック、あるいは発車後にチェックをするということになると思われます。
大きな横長のカバンを持っている人には、例えば、銃器ではないか、刀などではないかを「抜き打ちで確認する」というルールを作っておけば、それでも、抑止効果はあると思われます。
そこで大切になるのが、専門的な要員です。ここはJR各社にとっては、コスト増になるかもしれませんが、往年の「鉄道公安員」のような位置づけで、専門的なセキュリティ部隊を乗車させるようにするというのは、必要ではないかと思うのです。
2020年東京五輪へ向けての対策ということでも、このセキュリティ要員の乗車というのが、一番効果的で効率的ではないかと思います。先ほど申し上げた、「新幹線は電車にすぎない」ということとは、多少矛盾するかもしれませんが、とにかく、今回の事件のように丸腰で護身術の訓練も恐らくは最小限である車掌さんに、大きな刃物を振り回している人間と対決させるというのは、やはり無理があるように思います。
乗車率等の一定の基準に加えて、例えばダイヤ混乱時とか、重要な国家イベントが行われている時など、メリハリを効かせる形で、専門のセキュリティ要員を乗車させて、巡回させるというのが現実的ではないかと思うのです。