しかも日本は少子化時代を迎えており、現在の出生率(1.44人)が続くと2050年には日本の人口は1億人を切り、2080年には8,000万人を下回るし、2100年には今の人口統計から推計すると4,100万人まで減るとさえいわれている。
江戸時代に3,000万人強だった人口は増え続け、敗戦後の昭和20年は一時減少したが、それでも7,000万人といわれた。それが戦後の高度成長で67年には1億人に達し、現在は1億2,653万人まで増えている。この人口の伸びがあって日本は国力を伸ばし、日本人の勤労精神と相まって世界第2位のGDP大国にまで成長したのだ。まさに人口増こそが日本の成長の源だった。
ところが今や人口減少、働き手不足を肌で感ずるようになり、様々な理屈をつけ外国人労働者を入れ、補っているのだ。しかし現在のやり方は、どうみてもその場しのぎの手法としかみえない。日本は外国人労働者とどう向き合うのか。本気で対応を考えておかないといずれ国家間の摩擦にまで発展する危険性すらあろう。
労働人口減少を補う対応として外国人労働者の雇用だけでなく、日本人女性や高齢者の雇用も増えている。どのケースも減少する日本人労働者の補完としてみるだけでなく、賃金や権利、教育、日本人労働者とのバランスなどを国として考えておくべき時代に来ていると思う。グローバル化となり、これまで以上に人権の重視や多様性の尊重などが重要視されてきた。敬意を表される国になりたいものだ。
(電気新聞 2018年5月10日)
※ 参考情報
政府がかねてから検討していた外国人労働者の受け入れ拡大策を6月5日に開催した経済財政諮問会議にて安倍首相が人手不足が深刻な建設や農業、介護など5業種を対象に2019年4月に新たな在留資格を設けることを表明しました。6月中旬の閣議で決定する「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」に新資格の創設を明記し、今秋の臨時国会に入国管理法改正案を提出する予定です。
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