なぜカップ麺が更に旨くなる「魔法の粉」はここまで売れるのか?

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4,000億円マーケットとも言われる、日本のカップラーメン市場。そこに殴り込みをかけるのではなく「商品の質を更に上げる」という、新たな市場を生み出すナナメ上の商品戦略をとった企業があります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、カップ麺の中に入れることで味がさらに美味しくなる「魔法の粉」を商品化した企業『味源』の商品戦略を詳しく分析しています。

完成品をより良いものにする戦略

カップラーメン専用の粉末調味料で人気の企業を分析します。

● 食品製造卸の味源が提供している「カップラーメン専用の粉末調味料

戦略ショートストーリー

カップラーメンが好きな方をターゲットに「原産地にこだわりぬいた国産原料」に支えられた『カップラーメンが更に旨くなる』等の強みで差別化しています。

カップラーメン専用の粉末調味料として、様々な種類のカップラーメンに合わせて旨みが増すように調合し提供することで、顧客から支持を得ています。

■分析のポイント

完成品をより良いものにする戦略

カップラーメンが更に旨くなる」という価値は非常にわかりやすいですから、消費者に伝わりやすい、よい商品名だと思います。「名は体を表す」という言葉がありますが、その言葉がぴったり合いますね。

そして、カップラーメンは完成品ですが、その完成品の味をさらに高めるための商品という位置づけはおもしろいと思います。このようなアプローチは「完成品をより良いものにする戦略」と言えそうです。

実は同じような戦略から生まれた商品はいろいろありまして、いま、私が使っているノートPCのモニターに張り付けているブルーライトカット液晶保護フィルムもそうです。PCという完成品に目に優しい機能を追加して、より使いやすくしています。

その他、身近なモノでは、スマホのアクセサリーがあります。スマホケースやストラップなど、様々なアクセサリーがありますが基本的にスマホという完成品をより自分用にカスタマイズできる商品ですね。

カー用品も同様です。シートカバーやハンドルカバーなどは車という完成品を自分用にカスタマイズできますし、オートバックスの人気商品「ペダルの見張り番」はアクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐことで車という完成品の安全性を高めています。

などなど、実は身の回りを見るだけでも「完成品をより良いものにする戦略」から生まれた商品が多いことに改めて気づかされます。

この戦略のメリットはいくつかありますが、一定の市場規模があることが大きいです。カップラーメンは様々なメーカーが多数の商品を提供していますので、非常に大きな市場です。当たり前ですが、カップラーメンが世の中に浸透しているからこそ、「カップラーメン専用の粉末調味料」が売れるわけです。

一方で、市場が大きいからこそ競争が激しくなる可能性が高まるというデメリットとも捉えられますが、「味源」はパイオニアとして、「カップラーメン専用の粉末調味料」市場をリードする存在ですので、メリットを享受できているわけです。

ですから、「完成品をより良いものにする戦略」をとるうえでも、どこで戦うのかという戦場の選択は重要なポイントとなります。そういった意味でも、「カップラーメン専用の粉末調味料」という「味源」の目の付け所は素晴らしいです。

ちなみに「味源」は「カップラーメンが更に旨くなる魔法の粉」の派生商品として、「レトルトカレーがさらに旨くなる 魔法の粉」という商品も展開しています。成功事例をしっかりと横展開していますね。今後の「味源」の商品開発に注目していきたいです。

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