筆メーカーが生き残りをかけて一念発起した「熊野筆」成功物語

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新規市場に参入する際に勝つための「戦略」を練ることは一般的ですが、果たしてそこにはどのような要件が必要なのでしょうか? 今回の無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では、化粧筆メーカー「白鳳堂」を例に挙げ、戦略ポジションについて解説しています。

ポジションニング(位置取り)

少し前の朝日新聞に、これは「戦略」的だと感心させられた記事がありました。

それは化粧筆メーカー白鳳堂」という1974年創業の会社のことです。「白鳳堂」の本社は広島県熊野町にあり、江戸時代から伝えられる「熊野筆」で知られており、地域には伝統技術が蓄積され良質の筆がつくられています。もともとは洋画筆メーカーだったのですが、中国へと生産が移転して注文も減少し生き残りについて考えなければならない状況になりました。

そこで活路を見つけようとたまたま目をつけたのが「化粧筆」でした。よくよく調べてみると使い勝手のよい筆はなく、そこで一念発起して「戦略ポジションここで勝負する)」を見直して、ここで活路を見出すのだとしてこの「化粧筆に賭けることにしたのでした。

新規市場での「戦略」を行うについて、2つの要件を考えなければなりません。1つは、自社の提供できる効用」もしくはイノベーションによって適えられる「よりよき効用」によって満足を提供できる市場顧客の選択発見もしくは創造)、つまり「ポジショニング」。もう1つは、差別的優位性を確立するためのコア・コンピタンス真似できない核となる能力)」があるかどうかまた開発できるかどうかです。

顧客の選択つまり「ターゲッティング」を行ったら、さらに必要なのは「コア・コンピタンス」をもってより有利に差別化が可能な位置取り「ポジショニング」(ここでは高品質を求める・おしゃれ好きな顧客)を行うことが必要です。またさらに、ここからは自社の特化した効用」によって「利益を享受することのできる顧客」へのしつこくて忍耐強い接触と説得が必要です(顧客には中間業者および最終顧客の2通りがあり、それぞれの要望に合わせてのマーケティング展開を行わなければなりませんが)。

また「コア・コンピタンス」については、現時点で有する“効用”だけでなく、さらなる差別優位性を獲得するためまた生産性の向上のための「改善・革新」が求められる当然の「戦略要件」です。

それでは「白鳳堂」はどんな風にそれを考えて実行して行ったか。

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