外国人労働者に「日本語試験」を。ロシアの惨状を知る識者から警告

shutterstock_273693113
 

6月27日の党首討論で安倍首相は、外国人労働者受け入れ拡大方針を巡り「受け入れ先職場の平均賃金を保証すべき」と表明しました。これについて無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは賛意を表しつつ、ロシアの先例から「言語検定」などで一定基準を設けた賃金設定をすれば良いとし、人種に括らずに、努力をしたものの賃金が報われると実感できる法整備が必要との持論を展開しています。

外国人労働者の賃金を上げろ!にまつわるパラドックス

安倍総理は、「外国人労働者の賃金を職場の平均賃金まで引き上げる」方針を示しました。

首相、外国人労働者の賃金確保表明…党首討論

読売新聞 6/27(水)22:15配信

 

安倍首相は27日の党首討論で、国内の外国人労働者の処遇について、受け入れ先の職場の平均賃金を保証すべきだとの考えを表明した。外国人労働者の不当な処遇を防ぐとともに、外国人受け入れに伴って日本人が職にあぶれたり、賃金水準が低下したりしないようにする狙いがある。

この記事を読んで、「外国人より、もっと日本人を大切にしろ!」と思われた方はいますか? しかし、実をいうとこれ、まさに「日本人にとってとてもよいことなのです。

ある会社に二人の男性が面接にきました。一人は日本人。もちろん、日本語ネイティブで、ペラペラです。もう一人は、日本語カタコトの外国人です。ところが、この会社は、外国人を採用しました。なぜ? 日本人は、「時給1,000円」を要求した。一方、外国人は、「時給500円でいい」といった。それで採用されたのです。

こういうことがつづくと、そのうち低い賃金水準がスタンダードになってしまいます。最初は、「日本人は1,000円、外国人は500円」だったのが、いつの間にか、「日本人も500円、外国人も500円」になってしまう。それで、日本人の賃金水準が下がっていきます。もう一つ、「労働市場に、毎年何十万人も新しい労働力が供給される」という問題もありますね(安倍総理は、50万人の外国人労働者を受け入れると宣言している)。

この受け入れの件はともかく、「外国人の賃金を、職場の平均にあわせる」という話。これが実行されるとどうなるでしょうか

日本人と、日本語カタコトの外国人が面接にきた。会社は、日本語カタコト外国人を500円で雇うことができません。日本人と同じ給料で雇わなければならない。するとどうなります? 面接している人は、「そりゃあ日本語ペラペラの方がいいよな」となり、日本人を採用するでしょう。

このように、「日本人と外国人の賃金水準を同じにすること」は、日本語ネイティブの日本人を有利になるのです。

print
いま読まれてます

  • 外国人労働者に「日本語試験」を。ロシアの惨状を知る識者から警告
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け