各メディアが大阪北部地震に力を入れる最中の6月19日、さまざまな疑惑の渦中ある加計学園理事長・加計孝太郎氏が緊急で記者会見を開きました。以前より「モリカケ問題」を追及し続けている元全国紙社会部記者の新 恭さんは、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、この会見について「たった25分で中身はなく、安倍総理の責任を背負う姿勢をみせるためだけに開かれた会見」と指摘。答弁でウソをついた内閣が転ぶのは時間の問題だと分析しています。
加計理事長の「不意打ち会見」に翻弄された地元記者クラブ
渦中の人、加計学園理事長、加計孝太郎氏がようやく「記者会見」らしきものを開いた。
安倍官邸と自民党が、野党のたび重なる証人喚問要求を拒否してメディアから遠ざけてきたその人が、突然、カメラの前に現れたのだ。
会見の時間は、わずか25分だった。最初の5分は学園のあいさつや宣伝のようなもので、実質的な質疑応答は20分だけ。「このあと、公務がありますから」と、加計理事長は足早に会場を去って行った。
午前11時からの会見設定。その2時間前にFAXで記者会見開催の知らせを地元記者クラブ加盟の本社、支局に送りつけ、あたふたと駆けつけた50人ほどの記者を、たった20分の会見でほったらかしにして出ていく。
地元放送局記者から「なぜこのタイミングで会見を?」と質問された加計理事長は「理事会の中で私も含めた処分をしていただいた。その報告をさせていただくということで」と答えた。
処分というのは、同学園の渡辺良人事務局長が愛媛県にウソの報告をしたと急に言い出したことについてだ。
3年前、加計理事長が安倍首相に面会して獣医学部新設計画を説明したと愛媛県の記録文書に記されている。昨年1月20日まで加計孝太郎理事長とは獣医学部新設について一度として話したことはないと言い張る安倍首相の発言と明らかに矛盾する。
これについて渡辺事務局長は「たぶん自分が言ったのだろうと思う。ウソというか、その場の雰囲気で…」と、愛媛県庁へ奇妙な謝罪に訪れ、記録の内容を否定した。
このままでは安倍首相を加計学園が窮地に追い込んでしまうから、渡辺氏がウソをついたことにして、3年前のことはなかったことにしよう。そんな加計理事長の意向を受けて渡辺事務局長が泥をかぶったのだろう。だからこそ、学園として理事長と事務局長の処分をし、恰好をつける必要があった。
その処分内容の発表という名目で、地元記者を集め、加計理事長が記者会見をしたという実績もつくってしまう。姑息な考えだ。