中国激怒。ファーウェイ孟晩舟CFOがいま逮捕された本当の意味

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12月1日、中国通信機器大手ファーウェイのCFOがカナダで逮捕され、世界に波紋が広がっています。直接的な理由は「対イラン経済制裁を回避する金融取引に関与した疑い」とされていますが、事はそう単純ではないようです。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』でその「裏」に迫っています。

ファーウェイ創業者の娘逮捕の意味

皆さんご存知のことでしょう。ファーウェイの大幹部が逮捕されました。今日は、これについて考えてみましょう。

ファーウェイとは?

説明するまでもないと思いますが、一応。1987年に設立された中国の通信機器会社です。世界170カ国で製品・サービスを提供している。スマホのシェアは、サムソンに次いで世界2位。ちなみに3位はアップル。

誰がどこで逮捕されたの?

12月1日、カナダのバンクーバーで逮捕されたのはファーウェイの最高財務責任者・孟晩舟さん。

「CFOが逮捕されたのだな…」

まあまあ衝撃ですが、この方の素性がわかると衝撃度は、200%アップします。

孟氏はファーウェイ創業者の娘で、ファーウェイは中国テクノロジー業界の宝物のような存在。孟氏は実質的に、そのお姫様なのだ。
(BBC NEWS 2018年12月7日)

逮捕された孟さんは、「創業者任正非さんの娘」なのですね。ビジネスインサイダージャパン12月7日に、孟さんのことが、詳しく紹介されています。

逮捕されたファーウェイCFO。創業者との親子関係隠し、受付嬢から後継本命に

BUSINESS INSIDER JAPAN 12/7(金)12:10配信

 

中国では結婚しても男女ともに姓が変わらないが、孟晩舟氏は両親の離婚で母方の姓を名乗っているため、任正非との親子関係は長らく知られていなかった。

お父さん(ファーウェイ創業者)は任さん。お母さんは孟さん。で彼女は、母方の姓を名乗っているので、親子だとばれなかった。むしろ創業者の娘であることを隠していたと。

ファーウェイ入社から2011年のCFO就任まで任氏との親子関係を伏せ、一社員として同社の成長を支えてきた“異色の二代目”である孟氏は地味ながらも能力・人柄ともに高い評価を受けており、
(同上)

要は、「親の七光り」ではなく、「実力で出世してきた」。

孟晩舟は1972年生まれ(誕生日は非公表)で今年46歳。大学を卒業後、国有銀行の中国建設銀行で1年働き、1993年にファーウェイに入社した。創業7年目のファーウェイは当時、代理店からメーカーに脱皮しようとしていた小さなベンチャー企業に過ぎなかったが、孟氏は高校生のときに両親が離婚し、姓を「任」から母方の「孟」に改めたため、ファーウェイ入社後も長らく“正体”を知られることはなかった。

 

彼女は受付からキャリアをスタートし、コピー取りや商品リストの作成、展覧会の準備といったOL的な業務に3年間従事。その後いったんファーウェイを離れ、華中理工大学(現・華中科技大学)大学院で会計学を専攻、1997年の復職後は一貫して財務畑を歩んだ。

(同上)

孟晩舟氏と任正非氏の親子関係が公表されたのは、彼女がCFOに就任した2011年だ。
(同上)

1回目の入社から18年も正体を隠していた。そして、孟さんは2018年、「次期CEOの有力候補」に浮上します。

中国で孟氏への注目が一層高まったのは2018年3月、彼女が取締役会メンバー入りし、任正非氏に代わって副会長に就任したことがきっかけだ。圧倒的な権限を持つ任正非氏は今年74歳を迎え、ファーウェイの後継者問題も注視されていた。

 

任正非氏は以前から「ファーウェイをオーナー企業にするつもりはない」と語っており、2011年には権力の集中を防ぎ、変化により素早く、的確に対応するため、2011年に3人が半年交代でCEOを担当する輪番CEO制度を導入した。後継者はこの3人か、任正非氏の長男で、孟氏の兄である任平氏のいずれかになると予想される中、任平氏ではなく、孟氏が取締役に就いたことは、後継問題の大きなメッセージと受け止められた。

(同上)

長男ではなく、娘の孟さんが後継者になる可能性が高まっていたと。

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