偏差値60超の大学生がイラクの場所を誰も知らない日本の現実

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リビア、アフガニスタン、イラク…中東情勢などのニュースで耳にする国の名前と場所を、講義している大学の学生が誰も知らなかったとショックを受けたのは、メルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんです。小川さんは高校で歴史や地理が選択制になっていることを問題視し、「中学、高校の教育を見直すべき」と、鋭く提言しています。

留学した学生の多くが感じる「歴史の勉強」の必要性

以下のようにツイートしたら、結構な反響がありました。みんな感じているのですね。

北朝鮮の非核化についての『リビア方式』のリビア、同時多発テロ後に攻撃されたアフガニスタン、自衛隊が復興支援活動したイラク…。この国々の名前も場所も偏差値60超の大学生が知らないなんて。これではニュースも理解できない。歴史と地理は基礎教養だ。高校で必修にしないと日本は内側から衰退する

これは私が関係している某公立大学でのこと。私は講義中に、取り上げているマスコミ報道について「リビアという国がどこにあるか知っている人」「イラクはどこですか」「クウェートは」「アフガニスタンは」と学生に質問しただけです。全員が知りませんでした。愕然!

そこで、「高校で地理を選択した人?」と聞くと、これが皆無。何を選択したのかと聞くと、一番熱心で最も優秀な女子学生からは、「日本史と政治経済」という答えが返ってきました。

講義がジャーナリズム論だっただけに、地理や歴史についての基礎知識は欠かせません。これでは困ります。日本の教育の在り方を考え直す必要があると思い、あえてツイートしたわけです。おそらく、国際関係論の講義でも似たようなことがあるのではないかと思います。文系の受験秀才が集まる東京大学法学部も例外ではありません。

いまでは国際弁護士として活躍しているカミさんの甥が東大生だったころ、歴史の知識が偏っているのに驚いて訊ねると、高校で選択しなかったとのことでした。歴史は日本史と世界史の両方を学ばないと意味がありません。同時に地理も学ばないと、歴史を理解できないことはいうまでもありません。

それに、私が知っている日本の若者のほとんどが外国に留学してすぐ、「日本の歴史が判る本を送ってほしい」「世界史の教科書をほしい」といってきました。各国からの留学生と話をするのに、歴史の基礎知識がないと会話に入れないからです。外国の留学生のほうが、日本人留学生よりも日本の歴史を知っていることも少なくないとのことでした。 私が講義に行ったことのある中国の大学でも、遣唐使で唐に赴き、何度もの難船で帰国できず、唐の「安南節度使(ベトナム総督)」となった阿倍仲麻呂のことを教えているほどでした。「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも」という望郷の和歌で知られている人です。百人一首に入っていますね。

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