【国内政治】「生活の党と山本太郎とそのなかまたち」という惨状

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第3極どころか第2極も溶融する野党状況

『高野孟のTHE JOURNAL』 第164号(2014年12月29日号)

安倍の暴走を許しているのは野党のだらしなさである。維新の橋下徹=大阪市長は、3月、大阪都構想で行き詰まって発作的に市長を辞任して出直し選挙に賭けるという奇行に打って出て、まあ確かに再選されて「民意は私の主張を支持したではないか」と言い張れなくはないけれども、投票率は過去最低の24%。これって、安倍の12月総選挙と全く同じパターンですよね。安倍が橋下の真似をしたということだろう。それで本当に大阪都構想に弾みがついたのならまだしも、公明党の抵抗もあって目鼻がつかず、橋下の国政進出も断念せざるを得なかった。他方、全国政党としての維新は、8月に石原慎太郎らが割って出て次世代の党を作ったが、総選挙では壊滅。9月には江田憲司の結いの党と合流して「日本維新の会」を結党し、江田と橋下が共同代表となったものの、総選挙では橋下の膝元の大阪でも不調で、橋下は共同代表から下りる羽目となった。

生活の党の小沢一郎もどん詰まりで、総選挙では、代表代行兼幹事長の鈴木克昌を離党させて民主党から立候補させることまで容認する有様で、同党としては、小沢は何とか当選したものの、もう1人は沖縄3区の玉城デニーで、これは同党だから当選したのではなく翁長支持の「オール沖縄」統一候補となったから当選したのであって、小沢も同党も関係がない。つまりは小沢はとうとう一人になってしまい、参院の3人を合わせても政党要件を満たせず、何とか無所属の山本太郎を引っ張り込んで「生活の党と山本太郎とそのなかまたち」という党に仕立てて政党助成金を貰うことに成功したという、見る影もない惨状に陥った。

民主党は、通常国会後の夏に、無為無能な海江田万里代表を引き下ろそうとの動きが出たが、党内の大勢は、今バタバタしなくともどうせ来春の統一地方選で負けるからその時に彼に責任をとらせて次の代表を選べばいいのではないかという位の甘い考えでやり過ごしたために、安倍の抜き打ち総選挙に十分対応できず、海江田自身が落選の憂き目に遭った。来年1月に代表選を行うということで、あれこれ取り沙汰されているが、どのグループが誰を推すかというだけの駆け引きに明け暮れているのでは無意味で、本当の意味のリベラル軸が立たないのであれば誰がなっても再生はない。

 

『高野孟のTHE JOURNAL』第163号(2014年12月22日号)

著者/高野孟(ジャーナリスト)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊。2002年に早稲田大学客員教授に就任。05年にインターネットニュースサイト《ざ・こもんず》を開設。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
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