【日本再評価】「ベンジャミン・フランクリンの13の美徳」は日本文化では当たり前

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ベンジャミン・フランクリンな年末年始

『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』 Vol.089(2015.1.6号)

みなさん、あけましておめでとうございます! お正月は家族や大切な人たち、そして愛ねこたちとのんびり過ごすことはできましたか?そしてみなさんの新年のスタートはいかがですか?今年こそは!という目標や抱負は打ち立てましたか?

僕は大晦日にはニュージャージーに住む友人夫妻の家にご招待していただき、そちらで手作り料理や美味しいワインでのんびりと過ごして来ました。その友人夫妻の旦那さんが、面白い話をされていたので紹介したいと思います。それは、ベンジャミン・フランクリンの13の美徳 「The 13 Virtues of Benjamin Franklin」 というものです。

ベンジャミン・フランクリンは、現在の100ドル紙幣の肖像となっている人です。ベンジャミン・フランクリンはアメリカの父として讃えられたわけですが、その背景には、彼が権限の集中を嫌い、勤勉性を持つことと、社会活動への参加を重要視した人間性にあるからだそうです。そんなベンジャミン・フランクリンが一週間に一つずつ良いことを書きだしたリストがあります。それが「フランクリン自伝」なのですが、その中にかかれている事は時代は違えど日本人にとって非常に興味深い内容です。それは、以下のようなリストでした。

1.節制 – 頭や身体が鈍くなるほど食べないこと。はめをはずすほどお酒を飲まない。

2.沈黙 – 他人あるいは自分に利益にならないことは話さないこと。余計な無駄話はしない。

3.規律 – 自分の持ち物はすべて置き場所を決めておくこと。仕事は、それぞれ時間を決めて行う。

4.決断 – なすべきことをやろうと決心すること。決心したことは、必ずやり遂げる。

5.節約 – 他人や自分の役に立つことにのみお金を使うこと。すなわち無駄遣いはしない。

6.勤勉 – 時間を無駄にしないこと。いつも有益なことに時間を使うこと。無益な行動をすべてやめる。

7.誠実 – 騙して人を害を与えない。清く正しく思考する。口にする言葉も、また同じ。

8.正義 – 不正なことを行い、あるいは、自分の義務であることをやらないで、他人に損害を与えない。

9.中庸 – 何事も極端でないこと。たとえ相手に不正を受け激怒するに値すると思っても、がまんした方が良い時はがまんする。

10.清潔 – 身体、衣服、住居を不潔にしない。

11.冷静 – つまらないこと、ありがちな事故、避けられない事故などに心を取り乱さない。

12.純潔 – 性的営みは、健康のためか、子供を作るためのみにする。性におぼれ、なまけものになったり、自分や他人の平和な生活を乱したり、信用をなくしたりしない。

13.謙譲 – イエス及びソクラテスを見習う。

ということで、読んでいるだけで説教を受けているような気分になりそうですが、自分が上のリストをどれだけ実行できているかということを今論じようとしているわけではありません。そもそも、日本人の多くはイエスやソクラテスを見習えなんて言われても、ピンともチンともおきゃんとも来ません。それに、この週末に頭が鈍くなるほどハンバーガーをやけ食いした僕です。なので、今論じたいことはそこではありません。そうではなくて、このリストと日本との関連について考えてみたいと思います。

アメリカ人がベンジャミン・フランクリンを讃えている理由に、こういった彼の「善いことリスト」があったという背景がありました。一方、僕達日本人からこのリストをみてみると、昔から日本人の美徳としてすでに日本文化に根付いていた理念であるものもとても多いと思います。このリストを見ても、日本人としてさほど驚かないという感じがしませんか?「ふむ、真面目な侍はこんな感じかもね?」という気がしませんか?

近年、日本文化や日本そのものに対する世界的な関心が高まっていることは、国際都市NY にいると強く感じるものがあります。そして関心が高まっている理由には、日本文化や日本人に対する尊敬度が増していることがあり、そしてその背景に日本人が本来もつこういった美徳があるという分析もあります。今後日本人が世界に影響を及ぼす存在として、こういった美徳を世界の人が分かる形として発信できれば、これまで以上に日本人が世界を(文化、芸術などの形で)先導して影響を与えていけるのではないか。

もうすぐ日本でオリンピックが開催されるにあたり、日本への世界的な関心は益々高まることだと思います。僕達日本人はすでに素晴らしい美徳や哲学をもっていながら、時にそれに気づかないままでいることもあると思います。今年は、改めて日本の良さを見なおし、日本人としての自分を見つめなおすことをしてみたいな、と思った年末年始でした。そんな最近のおきゃんでした。

 

『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』 Vol.089(2015.1.6号)

著者/しんコロ(ねこブロガー・ダンスインストラクター・起業家・医学博士)
神奈川県生まれ。ニューヨーク在住。環境科学の修士号を取得後渡米、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ドイツキール大学での客員研究員を経て、免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。現在、世界有数のがん研究所として知られるニューヨークのメモリアル・スローンケタリング・がんセンター勤務。研究者としての仕事の傍ら、ヒップホップダンスインストラクターを兼ね、レシピやエッセイなどの執筆なども行っている。2011年にOKYN,LLCを起業。著書に「しゃべるねこ、しおちゃんと僕」「しゃべるねこ、しおちゃんの写真集」や、DVD「しゃべるねこ、しおちゃん」「ともだち」等がある。
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