五輪も返金なしか。新型肺炎で東京マラソンが作った前例の意味

2020.02.20
shutterstock_1636033435
 

新型肺炎の感染拡大を受け、一般の部が取りやめとなった東京マラソン。その決断には肯定的な意見も多いものの、参加料無返金については疑問の声が上がっています。今回、同マラソン財団が返金拒否の盾とするエントリー規約を取り上げているのは、『きっこのメルマガ』の著者で人気ブロガーのきっこさん。さらにきっこさんは記事中、新型肺炎の影響で東京五輪の競技が「無観客試合」となった場合にもチケット代が返金されない可能性が高くなったとして、その前例を作る形となった今回の財団の対応を批判しています。

東京マラソン財団の対応

テレビも新聞も新型コロナウイルス関連の報道ばかりで食傷気味なので、今回は、あたしは触れないようにしようと思っていました。しかし、2月17日に1つだけ触れずにはいられないニュースがあったので、ここで取り上げさせていただきます。あたしと同じく食傷気味の皆さん、ごめんなさい。

あたしが触れずにはいられなくなったニュースとは、3月1日に開催される「東京マラソン」が、一般参加者の出場を取りやめにしたという発表です。前日の16日に、北九州市と熊本市で開催された1万人規模の市民マラソンでは、参加者全員にマスクが配布され、大半の参加者がマスク姿でマラソンをするという異様な光景が見られました。

当初は「東京マラソン」も「マスクを配布する」と言っていたので、あたしは「何だかな~」と思っていました。しかし、翌17日、東京マラソン財団が「一般参加者の出場は取りやめ、エリート選手のみで実施する」と発表したのです。これについては、あたしは賢明な判断だと思います。本当なら大会自体を延期か中止にするのが最善ですが、男子は東京五輪選考会を兼ねているため、どうしてもエリート選手だけは走らせないとダメらしいのです。

じゃあ、何が問題なのかと言うと、「一般参加者には支払った参加料は返金しない」「チャリティー寄付金も返金しない」「特例として来年大会の出走権を与えるが、来年エントリーする場合は別途参加料が必要になる」という、あまりにも一方的な物言いについてです。東京マラソン財団は、エントリー規約を盾にして返金拒否を宣言しましたが、以下がそのエントリー規約です。

積雪、大雨による増水、強風による建物等の損壊の発生、落雷や竜巻、コース周辺の建物から火災発生等によりコースが通行不能になった結果の中止の場合、関係当局より中止要請を受けた場合、日本国内における地震による中止の場合、Jアラート発令による中止の場合(戦争・テロを除く)は、参加料のみ返金いたします。なお、それ以外の大会中止の場合、返金はいたしません。

ようするに「新型コロナウイルスの感染拡大による中止」は、積雪でも大雨でもなく、落雷や竜巻でもなく、火災や地震でもないので、返金の必要がない「それ以外」に該当する、という理屈なのです。「東京マラソン」の一般参加者の参加料は、国内が1万6200円、海外が1万8200円で、参加人数は3万8,000人です。全員が安いほうの国内だとしても、合計で6億1,560万円です。これを1円も返金せず、すべて丸儲けしようとしているのです。返金しないとしても、来年の大会に無料で参加させてあげるとか、それくらいしたっていいと思いませんか?

ダイヤモンドプリンセス号は、乗客全員に旅行代金全額を返金するだけでなく、クルーズ代金と同額の「フューチャー・クルーズ・クレジット」も付与すると発表しました。一方、規約を盾に1円も返金しないという東京マラソン財団。どちらも同じ新型コロナウイルスが原因なのに、この対応の違いは何なのでしょうか?そして、あたしは、大変なことに気づいたのです。

print
いま読まれてます

  • 五輪も返金なしか。新型肺炎で東京マラソンが作った前例の意味
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け