ドイツに学べ、日本政府に求められている新型コロナ景気対策とは

kitano20200413
 

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、様々な職種に休業が要請されていますが、その損失については今のところ国からの補償は期待できないようです。そんな安倍政権の姿勢に異を唱えるのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、「危機にあって、国は支援をケチってはいけない」と主張しその理由を記すとともに、安倍首相が見習うべきドイツ・メルケル首相の施策を紹介しています。

新型コロナ景気対策は、どうあるべきか?

日本も感染爆発にむかっている感じですね。緊急事態宣言が出されたことで、感染拡大のスピードが緩やかになるのでしょうか?後1週間ぐらいすると明らかになるでしょう。これでスピードが落ちなければ、「さらに厳しい措置を取らざるを得ない」ということですね。

ところで、RPEでは2月から書いていますが、今年は「リーマンショック翌年、09年よりも景気が悪化する」ことは確実です。このこと、ついにIMFの専務理事が認めました。

IMF、「世界恐慌以来の経済危機」 新型ウイルスで170カ国に打撃

BBC NEWS JAPAN 2020年04月10日

 

国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事は9日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により、2020年の世界経済の成長率が「急激なマイナス」となり、1930年代の世界恐慌以降で最悪の経済危機に直面するとの見通しを示した。

それで、政府には大胆な景気対策が求められます。今日は、これについて考えてみましょう。

こんな時、金を「ケチって」はいけない

1929年からはじまった世界恐慌の教訓はなんでしょうか?「大不況の時、政府は金をケチってはいけない」です。

この恐慌がはじまったとき、アメリカ大統領は、古典派(市場が自由であればすべてよし)のフーバーさんでした。彼は、世界恐慌を実質放置して、危機をどんどん深化させた。

アメリカが景気対策をはじめたのは、1933年にルーズベルトが大統領になってから。彼は、即座に大規模な金融緩和を実施し、大々的に公共事業を行いました(ニューディール政策)。

ルーズベルトよりも早く世界恐慌の影響を克服したのはヒトラーです。彼は、40%だったドイツの失業率を、完全雇用にもっていった。ヒトラーも、アウトバーン(高速道路)建設など公共事業を大々的に行っています。

08年、リーマンショックから、「100年に一度」と呼ばれる経済危機がはじまりました。09年、アメリカ大統領に就任したオバマさんは、きっちり世界恐慌の影響から学んでいた。それで、即座に大規模な金融緩和を行った。そして、目玉が飛び出るほどの財政赤字を出しながら、次々と企業を救済していったのです。

アメリカの財政赤字は07年、4,205億ドルでした。リーマンショックが起こった08年、9,754億ドルで2倍以上増加。オバマが大統領になった09年、財政赤字は、1兆9,068億ドルまで増えました。これ、1ドル110円で計算すると、209兆円です。つまり、日本の国家予算の2倍の財政赤字を、1年で出した。

でも、これでよかったのです。オバマさんは、フーバーさんの失敗と、ルーズベルト、ヒトラーの成功から学んでいた。彼のおかげで、アメリカは2010年からプラス成長に転じた。以後9年間の成長と好景気を謳歌することになったのです。

この話の教訓は何か?危機にあって、国は支援をケチってはいけない。ケチるとフーバーになりますよ。

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