【異物混入】有名飲食チェーン社長が激白、報道前の対処が全て

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異物混入が起こってしまったら

『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』 176号店(2015/1/14号)

今年は、スタートから外食業界において嫌な流れから始まりました。昨年、消費期限の切れた材料や、ずさんな工程で加工されたチキンマックナゲット・ショックからようやく沈静化がされるかと思った矢先に、またしても『マクドナルド』のナゲットに異物の混入があったとの報道が先週大きく取り上げられました。

青森の三沢の店舗で、青いビニール状の紐のようなものが混入していたと騒ぎになりました。続いて東陽町のお店でも白いビニール状のようなかけらの異物混入があったというお客様の声がお店であがっていたそうですが、このお客様に関してはその場で店側も謝罪し、代金の返金を店側から希望したが、そのお客さんは「別に大丈夫よ」と応じず、大きな騒ぎとなりませんでした。したがって、店舗のスタッフも、その異物を本部に報告することなく処分してしまいました。ところが三沢の店で大きなニュースとなったため、この東陽町店に来店したお客さんが、マクドナルド本部へ問い合わせたそうです。マクドナルド本部としても店舗からの報告がなかったので、その混入物がなんだったのかを検証することができず、そのことをマスコミがさらに追い打ちをかけて騒動が大きくなりました。

そうなると次々に異物混入の報告が、全国の『マクドナルド』の店舗からあがって来ます。酷いのは関西の店舗でマックポテトに「歯」が混入していたとの報告があがって来ました。お客様からの異物の混入の指摘をされ、その異物を『マクドナルド』が第3者機関に分析をかけると、それは人間の「歯」だったそうです。いやそれは確かに「歯」だったかも知れないけど、その人間の歯がどうしてマックポテトに混入するんですか? という話です。もし仮に原料に人間の歯が入っていたとして(ありえないけど)、フライヤーにポテトを入れて、油切りのところにポテトを移し、サイズに応じて調理スタッフがポテトを盛るわけですが、その3工程の中にもし人間の歯があれば余程のことがない限り誰かしら気付くでしょう、と思います。原因がわからない以上、キチンと調査をして結果を発表するのが企業の責任ではありますが、伝える側のマスコミがあまりにも先走っているというか、悪戯に消費者の心理を不安にさせているとしか思えません。

丁度この騒動の最中、たまたま通り過ぎた近所の『マクドナルド』が閉店し、次のテナントに某ハンバーガーチェーンが入るというのを目にしました。こんなことは考えたくもないけど、競合相手を蹴落としてまで自分達の勢力を広めようと考えたら、選択肢にあってもおかしくはないですからね。怖いよね。本当に。

しかし『マクドナルド』って、どうしてこうネガティブキャンペーンの対象になりやすいんだろう。僕らが子供の頃にもあったもんね。ハンバーグの原料が食用ミミズだ。みたいな都市伝説。牛肉よりコストアップになるんだから普通に考えればわかるレベルの話でも、ネットもない時代に口コミで世の中に広まるんだから相当だよね。

そして、食品の異物混入問題は当然のように次から次へと『マクドナルド』以外の企業から報告がされて行きます。木曜日には昨年10月に「ワタミのタクショク」の弁当の中から、ネジが混入していたという発表がされました。工場では出荷前にX線をかけるので、金属の混入は製造過程ではないとのこと。『ワタミ』側とすれば、こう発表をしますが、だからってネジが入っていたのは事実で「どこの過程で混入するんじゃい!」とか大きな声をあげる人がいます。どの企業担当者も「そんなんこっちが聞きたいわ!」と心の中でぐっと堪えて対応をしないとなりません。その後も『ローソン』や『セブンイレブン』の弁当から、ビニールのかけらが出て来た等と、続々と異物混入の報告が発表されて行きます。

『マルハニチロ』の工場にて期間限定で作ったいちごのヨーグルトに、虫が混入していたと発表がありましたが、『マルハニチロ』の発表は痛快でした。原料に露地栽培のいちごを使用しているために、いちごの内部に虫が混入していた場合は防ぎようがありません。みたいな。確かにそうだよね。

テレビではバカなアナウンサーが「続々と食の安全を脅かす異物混入問題が広がっています」と、眉間にしわを寄せて報道しますが、違うのよ。「広がっているんじゃなくて、今までも日常的にあったことなんだってば」と言ってやりたいぐらいです。さらに追い打ちをかけるように、食品ホニャララコンサルタントみたいな、なんだか聞いたことのないような肩書の怪しいおっちゃんが報道番組で「一度ゼロベースで見直すべきですね」とか、無責任に放ってくれるんだけど、それら大手食品工場がどれだけ衛生管理や異物混入などの対策をしているのかをどんぐらい知ってるんだよ? という話です。

そういえば、丁度今から1年前になります。『ステーキけん』のある店舗で、サラダバーで提供しているレタスに青虫が付着している写真がtwitterで拡散されて大騒動となりました。この時の対応を間違えたら経営に計り知れない影響があったと思います。この時、この写真を投稿したお客様のtwitterの投稿に、一番初めに気づいたのが僕でした。とにもかくにも最速で状況を公表すること。経緯を説明することということで、このお客様のツイートを発見してから4時間以内には会社のオフィシャルサイトで謝罪文の掲載ができました。

ネット社会の今、何か問題を起こした場合に、テレビに気付かれる前には既に対応が完了してないと厳しく追及されることとなります。「ペヤング」のゴキブリ混入の件も、1人の消費者がことを大きくし、いまだ製造中止に見舞われているという状況です。企業も当然問題を起こそうと思って起こしている訳ではありませんが、起きてしまった時にどれだけ早く状況の報告と問題解決のためのプロセスを報告できるかが大事なのかと思います。

 

『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』 176号店(2015/1/14号)
著者/井戸実
神奈川県川崎市出身。川崎市で一番偏差値の低い工業高校を卒業後、寿司職人の修業を経て、数社の会社を渡り歩いて26歳で目黒区祐天寺に居酒屋を開業。2006年7月にステーキハンバーグ&サラダバーけんを開業し同年9月に㈱エムグラントフードサービスを設立。
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