米国が遂に「中国打倒」を宣言。日本が「戦勝国」になる条件は?

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互いの総領事館の閉鎖にまで至るという、かつてないほどの高まりを見せている米中の対立。覇権を争う大国の板挟みになった日本は、どの方向に舵を切るべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「日本が果たすべき義務」を明記しています。

ポンペオ長官、【中国打倒宣言】!

歴史的な瞬間が近づいています。日本は、戦勝国になるのか?それとも、また敗戦国になるのか?なんの話でしょうか?

歴史的ポンペオ演説

アメリカのポンペオ国務長官は7月23日、カリフォルニアで【歴史的演説】を行いました。大げさではなく、【歴史的演説】です。何を語ったのか?日経新聞2020年7月24日(「『共産主義の中国 変えなければ』米国務長官の演説要旨」)を参考にしてみましょう。

中国との闇雲な関与の古い方法論は失敗した。我々はそうした政策を継続してはならない。戻ってはならない。自由世界はこの新たな圧政に勝利しなくてはならない。

ポンペオさんの【中国打倒宣言】です。

ニクソン元大統領はかつて、中国共産党に世界を開いたことで「フランケンシュタインを作ってしまったのではないかと心配している」と語ったことがある。なんと先見の明があったことか。

 

今日の中国は国内でより独裁主義的となり、海外ではより攻撃的に自由への敵意をむき出しにしている。トランプ大統領は言ってきた。「もうたくさんだ」と。

(同上)

「中国 = フランケンシュタイン」だそうです。そして、ポンペオさんは、習近平についても遠慮なく語ります。

(中国共産党の)習近平総書記は、破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者だ。中国の共産主義による世界覇権への長年の野望を特徴付けているのはこのイデオロギーだ。我々は、両国間の根本的な政治的、イデオロギーの違いをもはや無視することはできない。
(同上)

「習近平 = 全体主義イデオロギーの真の信奉者」だそうです。「いいえ、違います!習主席は、真の民主主義者です!」という人は、世界に一人もいないでしょう。そして、彼は「世界覇権」を狙っているそうです。もちろん、これも「その通り」でしょう。でなければ、「南シナ海は、全部中国のもの」などと、とんでも主張はしないでしょう。ちなみに中国は、「日本には沖縄の領有権もない!」と宣言しています(後述)。

いま行動しなければ、中国共産党はいずれ我々の自由を侵食し、自由な社会が築いてきた規則に基づく秩序を転覆させる。1国でこの難題に取り組むことはできない。国連やNATO、主要7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)、私たちの経済、外交、軍事の力を適切に組み合わせれば、この脅威に十分対処できる。
(同上)

まさに。

ソ連傘下の国々は、すべて共産党の一党独裁でした。中国が覇権国家になれば、傘下の国々は、当然「一党独裁体制」になることでしょう。香港がそうなってしまったように、言論の自由はなくなります。あなたが中国や、中国の支配下に堕ちた小日本省政府を批判すれば、逮捕されることになる。信教の自由もなくなります。ダライラマがインドに亡命せざるを得なかったように、天皇陛下もアメリカに脱出せざるを得なくなるかもしれない。将来は、日本語の使用が禁止される可能性もある。

少数民族である日本人女性は、「不妊手術を強制される」可能性があります。ウイグル女性がそうされているように。ニューズウィーク7月8日付に、「ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の『断種』ジェノサイド」という驚愕の記事があります。この記事によると、中国政府は、ウイグル人女性に「不妊手術」を強制している。一部引用します。

中国西北部の新疆ウイグル自治区では2017年以降、ウイグル人、カザフ人などテュルク系の少数民族が最大で180万人強制収容所に入れられた。これはホロコースト(ナチスのユダヤ人大虐殺)以降では世界最大規模のマイノリティー排除の暴挙である。亡命ウイグル人らはこの動きを「文化的なジェノサイド(集団虐殺)」と呼ぶ。

強制収容所に入れられていた女性たちが所内で注射を打たれ、その後に月経周期が変わったり、なくなったりしたことを語り始めたのは2018年以降のことだ。収容される前にIUDの装着や不妊手術を強制されたという証言もあった。

 

公表されたデータを見ると、2018年に新疆ウイグル自治区における人口の自然増加率(出生と死亡の差。移住は含まない)は急減している。

 

ウイグル文化の中心地であるカシュガル地区とホータン地区の人口の自然増加率は2015年の1.6%から2018年には0.26%と、実に86%も減った。一部のウイグル人地域では、2018年には死亡数が出生数を上回った。2019年には自治区全体の出生率は24%低下し、とりわけ少数民族地域では30~56%も低下した。

 

一方、中国全土の出生率は2018年から19年にわずか4.2%低下しただけだ。

(同上)

もし日本が中国の支配下に入れば?中国が、「ウイグルには厳しいけど、日本には優しくしよう」となる理由はありますか?もちろん、ありません。ポンペオさんは、結論を言います。

志を同じくする国々の新たな集団、民主主義諸国の新たな同盟を構築するときだろう。自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が我々を変えるだろう。

 

中国共産党から我々の自由を守ることは現代の使命だ。米国は建国の理念により、それを導く申し分のない立場にある。ニクソンは1967年に「中国が変わらなければ、世界は安全にはならない」と記した。危険は明確だ。自由世界は対処しなければならない。過去に戻ることは決してできない。

(日経新聞 7月24日「『共産主義の中国 変えなければ』米国務長官の演説要旨」)>

これはアメリカの【反中バランシング同盟を率いる宣言】です。

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