菅総理は牟田口か。コロナ下の東京五輪は「令和のインパール作戦」だ

takano20201207
 

新型コロナ感染の第3波が拡大する中、GoToトラベルを6月末まで延長する方針を固めた政府。キャンペーンが感染拡大の一因となっているとの声もありますが、菅首相は今後についてどのような見通しを立てているのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、菅政権は「希望的観測」だけで成り立っていると痛烈に批判。さらにその政権が望みを寄せる新型コロナワクチンについても、「過剰な期待は禁物」としてその理由を記しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

Go Toトラベルを6月まで延長する菅義偉首相の執念――中国並みのコロナ禍押さえ込みをしないと五輪は無理

新型コロナの感染者が連日2,000人を超え(12月5日=2,508人)、その内の重症者数が過去最多を更新し続けている(同520人)中で、菅義偉首相は3日、来年1月末までとしていた「Go Toトラベル」キャンペーンを6月末まで延長すると表明した。

同じ日、大阪府の吉村洋文知事は重症者に対応する医療体制が逼迫しすでに赤信号が灯っていることを理由に、府民に不急不要の外出を自粛するよう「医療非常事態宣言」を発したが、菅はそうした現場の実情など眼中にないかのように「経済優先、コロナ対策は二の次」の前のめり姿勢を崩すつもりがないことを宣言した。裏には、その姿勢を何としても保ちつつ7月の東京五輪・パラ開催に漕ぎつけようとする彼の異様なまでの執念がある。

本誌がすでに指摘してきたように、菅政権は「希望的観測」だけで成り立っているアクロバット的な政権で、

  1. コロナ禍の第3波はたぶん再び「緊急事態宣言」を発しなければならないほどにはならないだろう
  2. そのうち来春になればワクチンの大量投与ができるようになるだろう
  3. 6月段階でまだ収まっていなくとも、日本国民がマスク着用、手洗い・消毒励行、3密回避を忠実に実行して何とか暮らし、旅もしている様子を見れば、各国選手団や外国人観客も安心して五輪・パラにやってくるだろう
  4. 仮に一部選手団の不参加とか、無観客化を強いられるとかがあっても何が何でも五輪は開催する
  5. そうすると、9月30日までの自民党総裁選では「五輪をやり遂げた菅」に太刀打ちできる者はおらず、たぶん無投票再選となるだろう
  6. その最大の障害となるかもしれなかった「安倍再々登板」の芽はサクラ疑惑を再燃させて摘んだので、安倍の「菅おろし」の策謀はないだろう
  7. 同様に10月21日までの衆議院選挙でも自民党が勝って、長期政権への扉を開くことができるだろう……

と想定されている。が、1.から3.のどれかが崩れれば、当然、4.以下はない。

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