小池百合子劇場に騙されるな。感情論を煽る「コロナ猿芝居」の情報操作

reizei20210115
 

近隣県の知事を従え内閣府に乗り込み、西村経済再生担当大臣に緊急事態宣言発出を直談判し、政権から「満額回答」を引き出した小池都知事。コロナ対策を巡っては安倍前首相とも激闘を繰り広げた小池氏ですが、菅首相とのせめぎ合いはこの先どのような展開を見せるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、「小池劇場」における都知事の方法論と、小池氏に攻め立てられる一方に見える菅首相の思惑を考察しています。

小池政局にダマされるな

新年早々に再び「自民党政府が小池知事に振り回される」というドラマの第2幕が上演されています。普通、芝居の第2幕というと、1幕からはかなり設定の異なる場面に移動して、それぞれのキャラも深化するものですが、政治のドラマにはありがちなように、今回の第2幕は第1幕と似たような構図になっているわけです。そこが何とも困った問題です。

小池知事の方法論は次の6点からできています。

1)本当は、知事権限で強制力発動をするのが筋だが、現在の法制ではできないし、制度改正しても地方には権限は来ないということは計算済み。従って、どう転んでも自分に100%責任が来ないというのが前提。

2)自分は今後、東京が高齢単身世帯中心のゾーンとなって、慢性的な財政危機に陥るというような「近未来」については関知しない。だから、必要があれば東京独自のバラマキは躊躇しない。

3)ゲームの基本は、イニシアティブとTVの放映時間で菅総理を圧倒すること、その上で、自分が総理より危機感があり、真剣だというイメージを演出するのが彼女のプレースタイル。

4)地方経済の疲弊は全く関心外。都知事だから東京ファースト。

5)国政野党が無能なのも計算済み。だから、菅政権が死に体になって任期満了解散でもあれば、新党名で「一発勝負」に出れば政権が取れるかもという計算がある。では、そうした度胸とカネがあるかというと、実はないし、前回の「希望の党」失敗で懲りているので、今回は「いつでも自民党に帰って清和会を乗っ取らせていただきます」というプレッシャーをかけているだけ。

6)ファッショナブル作業服とか、「外出は短時間」とか、いちいちフリップ持って「アラート」なんとか、とか、要するにテレ東さんのノリで都市型の感情論煽っているだけ。

とにかく最大の問題は、仮に国政復帰したところで、カーボンゼロと原発再稼働、日米中の三極外交、生産性向上などといった国家戦略については、「何の信念も方法論もない」ことだと思います。

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