コロナではなく“酒”が日本人を殺す。テレビが報じぬアルコール依存の原因と「スポンサーへの忖度」という病

shutterstock_1113250079
 

新型コロナウイルス感染症の拡大で、2度目の緊急事態宣言が首都圏を中心に発出されて2ヶ月あまり。さらなる期間延長が発表され、自粛生活の終わりが見えない状況が続いています。そんなコロナ禍で目に見えにくい問題が、自宅にいる人々の「アルコール依存症」です。メルマガ『テレビでもラジオでも言えないわたしの本音』の著者で精神科医・映画監督の和田秀樹さんは、自粛生活で増える「家飲み」が依存症を加速させることを懸念。さらに、アルコール飲料メーカーに忖度して自粛生活でのアルコール依存問題を報じないマスメディアを厳しく批判しています。

コロナ禍とアルコール依存症

さて、今回問題にしたいのは、コロナ禍におけるアルコールの扱いの問題である。

以前も問題にしたが、自粛生活の副作用の一つに「アルコール依存症」がある。

アルコールに限らず、依存症というものは、一人のとき、心理的に孤立しているときに起こりやすい。

たとえば、買い物依存症で仲間と連れ立ってする人はまずいない。

逆に、アルコール依存症の治療として「自助グループ」を作って、仲間を作ることでせっかく断酒できた人が再び酒に走るのを予防するといった具合に、薬やカウンセリングより自助グループのほうが有効な治療法と考えられている。

特にアルコールのような薬物は、一人で飲んでいると歯止めが利きにくい。

そういう意味で、夜7時以降は店での酒類の提供が終わるとか、お酒を飲んでの会食が禁止されるということがあれば、ちょっとエンジンがかかった状態で家に帰ることになるから、依存症に陥るリスクが大きい。

また、自粛生活で日光を浴びていないとメラトニンという睡眠物質が分泌されないため、不眠に陥るリスクが大きい(そうでなくても、昼間に動いていないと眠くなりにくい)。そういう時にお酒で寝ようとすると、どんどん酒量が増えてしまう。

確かに、コロナ自粛は飲食店の売り上げを激減させた。アルコール飲料のメーカーもそれなりのダメージを受けているようだ。しかし、全部でなくても、ある程度メーカーを救っているのが「家飲み」のようだ。

たとえば昨年の5月などは、スーパーの酒類の売り上げが1割以上アップし、ドラッグストアやホームセンター(ここで大量の買う人が多いようだ)では前年比で2割近く売り上げがアップしている。

どの程度アルコール依存症が増えるかは、私には予想できないが、少なくとも2年後、3年後に社会問題化するのではないかという予感がしてならない。

【関連】三浦春馬を誰が殺したか?“犯人”は今日もビールを旨そうに飲んでいる

print
いま読まれてます

  • コロナではなく“酒”が日本人を殺す。テレビが報じぬアルコール依存の原因と「スポンサーへの忖度」という病
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け