米選手団が渡航拒否なら五輪は中止。それでも進まぬワクチン接種の後手後手

shutterstock_659422525
 

前回の記事「五輪中止は決定か?放送権を持つ米NBC「聖火リレー批判」が意味するもの」で、東京五輪中止の可能性に言及していた、メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。今回、津田さんは日本のワクチン接種が遅々として進まない理由を挙げながら、菅首相の指導力不足が致命的なレベルだと指摘し、このままでは米国の選手団が渡航拒否した段階で「五輪中止」が決定的になると推測しています。

五輪開催は「絶望的」に

4月5日に「まん延防止等重点措置」が大阪、兵庫、宮城に発令された。このままだと6月には再度、緊急事態宣言発令の可能性も出てきたし、東京は3週間遅れで大阪に続くことになるだろう。

3月22日に東京で緊急事態宣言が解除されたが、先週号「五輪中止は決定か?放送権を持つ米NBC「聖火リレー批判」が意味するもの」でも懸念した通り、新規感染者数の増加が止まらない。そして、大阪、兵庫、宮城で、4月5日に「まん延防止等重点措置」が発令された。

大阪は緊急事態宣言を2月末で解除したが、1ケ月で再度感染者が増えて、「まん延防止」を発令することになった。東京は3月22日に解除したので、大阪と同じく、1ケ月後の5月には「まん延防止」を発令することになる。

大阪ではコロナ変異株が蔓延して、感染者数の半分が変異株となっている。コロナ変異株は感染力が強く、かつ、子供でもかかるように進化している。東京でも、大阪とは違う変異株が徐々に増えている。

ワクチンの認可遅れにより現在、日本国民の1%未満しか接種されていない。ファイザーだけではなく、少なくともJ&Jやモデルナのワクチンを認可するべきである。

米国や英国は約半数の人が接種を受けて、コロナによるロックダウン解除が進んでいる。それに比べると、日本の遅れは致命的なレベルとなっている。

諸外国では、コロナ感染症との戦いということで「戦時対応」をしているが、日本は今でもコロナワクチンの認定を平時モードで行っていて認可しないままでいる。このため、ファイザーのワクチンしか接種できず、ファイザーのワクチンが取り合いになっている。

逆に認可が早いと、副作用などの問題があって日本の評論家に叩かれる心配がある。しかし、他国での接種が進んで、ある程度の副作用が分かった時点で緊急認可すべきである。

世界の接種情報から、アストラゼネカのウイルスベクター・ワクチンは「血栓ができやすい」ということが分かってきた。また、中国やロシア製のコロナ不活化ワクチンを接種してコロナに感染する事例が出ている。こちらも不活化のレベルが重要なのだろう。

といったように、問題があるワクチンの認可はしないことである。しかし、副作用の低いワクチンの認可も「遅過ぎ」である。副作用がないワクチンなどないので、低いレベルなら早く認可すべきだ。

日本人の治験が必要ということでは認可が遅くなるし、コロナでの正常化を大幅に遅らせることになる。

コロナワクチンで、早期にコロナ回復を想定して株価が下がった株に買いが入ったが、第4波が予想されるために、株価は再度下落している。「コロナ被害」業界に光が見えない。

print
いま読まれてます

  • 米選手団が渡航拒否なら五輪は中止。それでも進まぬワクチン接種の後手後手
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け