開幕まで2カ月あまりとなった東京五輪・パラリンピック。菅義偉首相の開催方針は変わっていないが、朝日新聞の世論調査では「中止」が43%、「再延期」が40%など、今夏の開催中止を求める声が日に日に高くなっている。それは日本国内のみならず、世界中から巻き起こっているようだ。
五輪選手に許可して日本国民にワクチンを打たない疑問
フランスの日刊紙「リベラシオン」は一面で「東京オリンピックはノックアウトか?」と衝撃的なタイトルを据えた。クーリエ・ジャポンが伝えた。
記事の中で、「政府はPCR検査数を増やすこともなく、ワクチンの提供を急ぐこともなく、医療体制を強化することもなく、必要な資金援助をすることもなく、1年以上もウイルスの蔓延を放置している」と痛烈に批判。
また、オリンピック期間中に3万人の選手団とその関係者へのPCR検査が毎日予定されていることについて触れ、「なぜそれを住人には提供しないのか」と日本政府に疑問を呈し、選手を優先して国民をないがしろにしているとした。
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カナダでは世論調査会社レジェ・マーケティングが15日、東京五輪をめぐるカナダの調査結果を公表した。
朝日新聞によると、「東京五輪に自国選手が参加することは安全だと思うか」という問いに対しては、カナダ46%が「いいえ」と答え、「はい」の35%を上回った。
「自国選手は東京五輪に参加すべきだ」と答えたのは42%で、「参加すべきではない」の39%と賛否が拮抗している。
英BBCが指摘「北京五輪のせいで中止できず」
世界各国で広まる「五輪中止」の声。BBCは「なぜ日本政府は東京五輪を中止しないのか 事態は簡単ではなく」というタイトルの記事を掲載した。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、国民から開催の中止を求める動きが加速している日本の現状を報告。その上で、東京五輪を中止にできない理由を述べている。
記事ではオリンピック大会はIOCの独占的財産だとし、開催を中止する権利はIOCのみにあり、開催都市側にその規定はないと断言。
日本とIOCにとっては放送権とスポンサーシップという意味で数十億ドル規模がかかっており、経済的な損失が大きすぎるため簡単に中止という選択は取れないとしている。
また、2022年2月に開幕される北京冬季五輪も要因のひとつだと指摘。
アジアで日本と勢力を競い合う中国が開催するとなれば、日本も簡単に中止にはできない。なぜなら、日本では失敗したのに中国は大成功という最悪の結果になりかねないからだ。中国との差をつけられてしまうような形にしたくはないとしている。
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しかし、そんな日本政府との考えとは裏腹に、世界からも東京五輪開催を疑問視する声が高まっている。果たして菅首相はどのような決断をするのか。東京五輪は7月23日に幕を開ける。